日別アーカイブ: 2017年3月23日

被災者の住宅再建~最後の一人まで寄り添った支援を

 応急仮設住宅の供与期間について、石巻市、気仙沼市、名取市、東松島市、女川町、南三陸町の6市町が8年目も特定延長(※)すること、塩竈市、多賀城市、山元町は7年で終了することが報告されました。

 一方、宮城県の応急仮設住宅入居者の再建意向調査(1月末現在)によると、再建先未定は74世帯、未把握は59世帯です。そのうち塩竈市は未定が4世帯、未把握が2世帯となっています。一人一人の被災者に寄り添った支援が必要です。

 

福祉予算は増えていない~保健福祉委員会及び予算分科会の論戦から

 県民の粘り強い運動で、子ども医療費の助成拡大や保育所の増設などが一歩前進しました。尚一層の充実を求めるものです。しかし、子育て支援課の予算増や後期高齢者医療や介護保険等の給付費の県負担分の増額を含めても、保健福祉部の通常分の予算総額は前年より39億円の減額となりました。医療や介護等は圧縮した予算となっています。介護職員や保育士の処遇改善、地域医療・救急医療の充実など、福祉への本格的なシフトが必要です。

【循環器・呼吸器病センター】

循環器・呼吸器病センターを廃止し、栗原中央病院に結核医療を移管するための整備費(結核医療提供施設整備費1億2288万円及び、その債務負担行為11億3千万円)及び関連議案に反対しました。

県立循環器・呼吸器病センターは、瀬峰地域の住民にとって唯一のかけがえのない病院であり、地域医療を守る立場から撤退は認められません。また、結核医療は全県で唯一の入院ベッドであり、宮城県が責任を持って運営すべきです。

また、循環器・呼吸器病センター廃止後の職員117人(医師7人、看護師37人、その他職員37人)の今後の方針が決まっていません。栗原中央病院で希望している職員は看護師17人だけだそうです。職員の意向調査もこれからです。働く職員の意思を無視して、循環器・呼吸器病センターの廃止ありきで事を進めることは同意できません。

【救急医療施設運営費補助】

平成28年度は大崎市民病院の救急救命センターへの県の補助金が、県南中核病院や石巻日赤病院との公平性をはかることを理由に、それまでの1億2千万円から5725万円に減額されました。大崎市から元に戻すように要望が上がり、わが党では内藤議員や天下が取り上げてきました。このたび、28年度は元に戻すことが明らかになりました。ところが県の説明では、29年度も1億2千万円で継続するが、30年度以降は段階的に引き下げて32年度には5725万円に下げるとの説明でした。

宮城県の救急車の搬送時間は平均42.5分で全国40位と厳しい状況です。地方の救急医療体制が厳しい中、低いほうに補助金を合わせるのでなく、全体として底上げし、救急医療を県がしっかりと支えるべきです。

【学校での集団フッ素洗口の見直しを】

「宮城県歯と口腔の健康づくり推進条例」に基づき、宮城県では学校における集団フッ素洗口のモデル事業を行っています。しかし、学校現場からは、フッ素洗口の安全性や有効性に対する歯科医師の見解が分かれている中で、それでなくても忙しい学校での集団洗口はやめてほしいという意見が出されています。

平成29年度は条例に基づく基本計画を見直し、第2期計画を策定する年です。策定作業の中で、学校における集団フッ素洗口についても、学校関係者の意見も聞いて再検討するよう求めました。

【介護人材確保事業について】

介護職員の確保は喫緊の課題となっており、宮城県はいくつかの確保のための支援事業を行っています。そのひとつが、無資格者を雇用した場合の研修受講料や代替え職員確保を支援する「介護人材確保支援事業」です。ところが、平成28年度は385名の目標に対して、48事業所・80名と21%の実績に過ぎず、2月補正で8400万円も減額補正が行われました。29年度予算では実績を踏まえて100名の目標となり予算額は前年度より7700万円減っています。

目標に到達しなかった理由の分析と対策を講ずること、地方での研修会開催も検討することなどを求めました。一方、29年度から外国人介護労働者の資格取得には介護基礎教育コースや代替職員相当分の事業所への支援、受講生に対する交通費助成などが手厚く設定されており、日本人に対しても資格取得を位置づけ、手厚い支援を行うよう求めました。

宮城の医療・福祉を一歩ずつ前へ!

この間、私が議会で要請していたことが一歩前進しました。

【仮設住宅入居者健康調査を「無職者」への支援に結びつける】

毎年、県が行ってきた仮設住宅や災害公営住宅入居者の健康調査では、職業について「無職」と答えた方が3割を超え、20代~50代の稼働年齢層でも多いことがわかり、理由を調べて対策を打つことを求めてきました。

今議会で2016年度のプレハブ仮設住宅入居者の調査結果が報告されましたが、無職の理由を質問に加え、15歳から64歳までの無職者の33.4%が求職中、16.1%が病気療養中だったことがわかりました。県は生活困窮者支援制度等による支援を行うとともに、求職中の方に対しては雇用対策担当部局と連携して就労支援を進めるとしています。

 

2017年度に災害福祉広域支援ネットワーク協議会を立ち上げる】

昨年4月の熊本地震では、人手が足りず福祉避難所が充分に機能しなかったことが報道されました。そこで、避難所等で要援護者の支援を行う災害派遣福祉チームを、既に設置している岩手県を参考に、宮城県でも設置するよう提案していました。今議会で、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士に呼びかけて、派遣の母体となるネットワーク協議会を2017年度上半期に立ち上げることが質問で明らかになりました。私は、保育士にも参加を呼びかけるよう更に要請しました。

*「岩手県災害派遣福祉チーム」

・チームの派遣主体:「岩手県災害福祉広域支援推進機構」(本部長:県知事、事務局:県社協、福祉関係団体等で構成、2013年9月に設立)

・(2014年4月現在)研修修了者197名登録。4~6人の混合チーム(高齢・障害・児童・保育等)で最大27チーム派遣可能。

・熊本地震、台風10号豪雨で出動。

 

被災者置き去りの復興

【被災者医療費等一部負担金免除の復活を】

宮城県の被災者の医療・介護負担免除措置は、9市町以外の26市町村と75歳以上の後期高齢者医療が免除を打ち切られ、同じ被災者でも住む場所と年齢によって差別されるという事態になっています。知事は、「6年経ってみんなで前に進む時期。あえて厳しい判断をしている」といいましたが、宮城県は2013年度からいち早く打ち切っており、まさに被災者置き去りの復興といわざるを得ません。

国保調整交付金で国保財政が厳しい市町村に10億円の支援を打ち出したといいますが、予算の枠自体を増やさず運用を多少変えただけのもので、かつ市町村に対する「被災者医療免除に活用してほしい」とのメッセージ発信を再三拒んでいるため、市町村がこの予算を「被災者医療費免除」に運用するに踏み切る後押しにはなっていません。宮城県も岩手県同様、自治体負担の半額支援を行い、全市町村の医療・介護及び後期高齢者医療の免除措置を復活するべきです。

<2017年度の免除措置実施市町村>

国保:気仙沼市、石巻市、東松島市、塩竃市、多賀城市、名取市、女川町、松島町、七ヶ浜町

介護保険:気仙沼市、石巻市、東松島市、塩竃市、多賀城市、名取市、松島町、七ヶ浜町、蔵王町

後期高齢者医療は2016年度から免除打ち切り。

 

【東日本大震災みやぎこども育英基金は本来の使途を優先すべき〕

被災者置き去りの復興を示すもうひとつは、東日本大震災みやぎこども育英基金の使い方です。遺児・孤児への寄付金は総額100億円となりました。そのうち就学資金等で直接、遺児・孤児に給付される金額は34億円、今年度拡充した他の用途に使われる金額は10年間で60億円に上ることが明らかになりました。他の用途が当初の目的に逆転する事態です。

一方、里親の高齢化で養育費への不安が新聞報道でも指摘されており、せめて岩手県並に倍の給付にするべきです。

 

 

 

 

母子・父子家庭医療費助成及び心身障害者医療費助成制度=償還払いから現物給付への改善を求める

(天下):国は、2018年度から子ども医療費助成制度について国保の国庫負担金減額調整(いわゆるペナルティ)を就学前まで廃止する方針を出しました。ところが、宮城県の母子・父子家庭医療費助成制度と心身障害者医療費助成制度は、現在、窓口で支払って後から戻る償還払い制度です。そこで、子ども医療費助成制度と同様、ペナルティを廃止するよう国に求めるとともに、宮城県が現物給付とすべき。

⇒(保健福祉部長):現物給付化すると市町村にペナルティを課され、新たな財政負担が生じることから難しい。

(天下):担当課の計算によると、母子・父子家庭医療費を現物給付にすると発生するペナルティ額は4539万円。子ども医療費のペナルティ廃止による軽減額は13800万円。これを財源にして母子・父子家庭医療費助成制度を現物給付に改善せよ。

⇒(保健福祉部長):市町村の意向を踏まえながら検討する。

国保都道府県単位化=住民本位の運営方針策定を求める

2018年度の国保都道府県単位化の実施に向けて、質問で明らかになったこと及び、保健福祉部長の回答は以下の通りです。

①「国保運営方針(案)」は4月に公表され、「宮城県国保運営協議会」で審議を行い、今年12月までに決定される。

②国保運営協議会の被保険者代表は公募で選出するよう提案⇒「市町村運営協議会の委員の中から市町村の推薦を受けて選出する。」

③運営協議会の会議と議事録の公開、運営方針案のパブリックコメントを実施せよ⇒「実施する。」

④保険料算定の基礎となる納付金は、医療水準と所得水準等を勘案して算定する。市町村は納付金に応じて独自に保険料率の設定や減免を実施することができる。但し、国のガイドラインでは将来的には保険料水準の統一を目指すこととされており、その場合は市町村の独自減免は難しくなるので、統一の時期は今後十分な協議が必要と回答。

⑤短期保険証、資格証明書の安易な発行及び短期証の留め置きはやめるよう市町村へ指導せよ。⇒「滞納者の実情を十分に調査した上で交付するよう指導援助を行う。長期間の留め置きがないよう配慮することを求めている。尚、県として短期証や資格書の取り扱い指針を策定する。」

⑥一般会計から国保会計への繰り入れは市町村の判断を尊重すべき⇒「一般会計からの繰り入れは法律上禁止されていないが、国のガイドラインでは決算補填を目的とした繰り入れは解消又は削減すべきとの方針が示されており、県としても国の方針に沿って指導する」

藤倉の信号機実現!県道泉塩釜線・東玉川の設置を求める

地域住民や共産党塩釜市議と一緒に、県警や塩釜警察署に要望書を提出していた藤倉(市道庚塚吉津線)の横断歩道への信号機設置が実現しました。

2月定例会では、同様に要望書を提出していた県道泉塩釜線・東玉川地域の信号機設置について質問しました。東玉川交通安全事業は、東北本線のこ道橋に人道用トンネルを設置し、歩道の拡幅工事を行うものです。ところが、その人道用トンネルを通るために必ず県道を横断しなければならなくなりました。見通しの悪いカーブで交通量も増えていることから、こ道橋供用開始の今年10月前に、横断歩道と信号機及び予告信号機をセットで設置することを求めました。

警察本部長は「今後の交通量や横断歩行者の実態を踏まえ、設備の必要性を検討する」と答えました。

塩釜港区岸壁と航路の水深9mの早期実現を求める

1.塩釜港は東日本大震災直後も被災からわずか10日で石油タンカーが入港し、被災地の燃料不足の解消に大きな役割を果たした「天然の良港」です。宮城県港湾計画に基づき、貞山ふ頭1号岸壁及び航路の水深9mの早期実現を求める。

⇒(土木部長):貞山ふ頭1号岸壁は平成26年度より国による工事が進められ、平成32年度完成の予定。航路については水深7.5mの整備が今年度完成した。水深9mの航路整備については、多額の費用と相当期間を要することから、船舶の大型化の動向も踏まえながら検討する。

2.計画されていた汚染土壌処理施設の建設は中止となったが、未だ塩釜港からの汚染土壌の搬出は続いている。塩釜港は汚染土壌取り扱いの港から外すべき。

⇒条例に定められた使用許可基準にも他法令にも違反していないことから、許可取り消しはできない。

 

大企業の撤退とリストラを許さず地域の雇用と経済を守れ!

宮城県誘致企業第1号のソニーが、子会社のソニーストレージメディア・アンド・デバイス株式会社(以下、SSMD)を事業会社と製造会社に分社化して大幅賃下げを伴う転籍を迫るとともに、豊里サイトは多賀城サイトに移管して閉鎖しようとしています。登米市にとっては雇用と経済に関わる大問題です。

県内のソニー各工場に支払われた県の企業立地促進奨励金は1988年以降だけでも総額5億8658万円にのぼります。ところが、繰り返されるリストラと事業縮小で、多賀城サイトは2000人いた従業員が700人弱に、豊里サイトは500人が現在270人に縮小され更に閉鎖されようとしています。

そこで、ソニー株式会社とSSMDに対して、豊里サイトの閉鎖を撤回して雇用と労働者の暮らし、地域経済を守る社会的責任を果たすことと、労働者の同意がない転籍や退職強要はいっさい行わないことを、宮城県が要請するよう求めました。

村井知事は、経営環境が厳しさを増していることから「やむを得ない」という認識を示しましたが、再度、「宮城で培ってきた技術、ものづくりを衰退させている。ソニーの幹部にしっかりと働きかけよ」と迫りました。知事は「引き続き事業をするよう、機会をとらえて幹部の方にお願いする」と答えました。

本格的な住宅リフォーム助成制度で地域経済の活性化を

 2月定例会(217日~316日)が終了しました。私は一般質問をしました。順次、その内容を報告します。

 震災から6年が経ちました。県がまとめた「新みやぎ建設産業振興プラン(H283月)」では、「今後の県工事建設投資の見通しは、震災前の水準まで激減する見込み」とされ、その結果、受注競争が激化し、経営環境は悪化し、その結果、雇用が削減され、更なる若年入職者の減少と高齢化が進行し、技術力も低下して将来的な品質確保の懸念がある。その結果、深刻な現場の担い手不足が進み、維持管理や除雪・災害対応に支障をきたし、長寿命化対策も遅れるとしています。地域経済の落ち込みも懸念されます。

 そこで、復興後を見据えた経済対策として、宮城県が本格的な住宅リフォーム事業に着手することを求めました。土木部長は、「県では住宅リフォームのみを対象とした新たな支援は考えていない。既存の支援制度を県民や地域の工務店に周知する」と答えました。しかし、宮城県が現在実施しているのは耐震改修工事助成に住宅リフォーム助成(最大10万円)を乗せるもので、申請件数は予算比35%と予算を大きく下回っています。耐震改修に限定しない秋田県と比べると経済対策の効果は雲泥の差です。

◆秋田県住宅リフォーム推進事業(H22年度~27年度の6年間):戸数70,593戸、補助金額89億9993万円、工事費1386億9644万円、経済波及効果約2186億円

◆宮城県耐震診断・耐震改修助成事業(H23年度~27年度の5年間):戸数954戸、補助金額2億755万円、工事費41億7000万円、経済波及効果67億8000万円

<小規模事業者の担い手育成を求める>

高知県では、「耐震改修目標達成の決め手は業者の担い手確保と更なるスキルアップだ」と言って、まちの大工さんや設計士さんが、補助制度の利用条件や申請手続き、耐震診断や改修設計を学ぶ勉強会や講習会を開いていることを紹介し、宮城県でも担い手育成に力を入れるよう求めました。土木部長は「前向きに検討する」と答えました。

<2月6日:秋田県の住宅リフォーム助成調査>