月別アーカイブ: 2018年12月

地方税滞納整理機構は人権侵害の対応を改めよ

天下:市町村から機構に移管された方が初めて電話を入れると、「一括で払えなければ家宅捜索に伺い自宅をテープで囲うことになるが、近所に迷惑がかかるでしょう。子どもたちも大変じゃないですか」、「ここは相談窓口でない。一括して払ってもらうところだ」など人権侵害も甚だしい対応が続いている。ただちに改善を求める。
⇒総務部長:地方税滞納整理機構では、滞納者への説明責任を果たすこと、生活再建を含む丁寧な納税相談を行うことという設立当初からの基本スタンスに基づき滞納整理を進めている。滞納者との納税相談や綿密な財産調査を行い、生活状況を十分に把握した上で、担税力があるにもかかわらず滞納を続けていたり、納税相談に応じないような事案については、法律に基づき毅然とした対応を行うこととしている。

天下:改善するのかしないのかわからなかったがどうか。
総務部長:脅すような発言はしていない。

天下:機構が発行するニュース「納めLINE」には、「『死ねってことか』『家族で心中してやる』と何度言われたかわかりません」と機構の職員が書いていた。脅しの発言をしているからこういう声が出ている。これは信頼関係を作る親身な対応とは全く逆の対応だ。県が組織的に行っていることで知事にも責任がある。改善せよ。
村井知事:受け取る側が不快に思ったら改善していくことが重要であると思う。但し、大前提は生活が苦しくても税を払っていただいている方もおられるので、税はしっかり払っていただく。そして必要なケアは求めていただくという基本スタンスだ。
天下:納税者との公平性、均衡を言うのであれば、そもそも国保税が知事も認めたように高いということだ。その改善をしないでそこばかり強調するのは問題だ。病気や倒産、事業不振などで困った時、市町村に相談して保険料や医療費が減免になったらどれだけ助かったか。市町村にとっても滞納者を生み出さないことにつながる。資格書だ差押えだと制裁を強化するよりも、困ったときに相談にのり救済できるしくみをしっかりと作るべきだ。

高い国保税を協会けんぽ並みに ~払えない人への制裁強化ではなく減免制度の拡充・周知を~!

//国に1兆円の公費負担増を求めよ//

40代夫婦と子ども2人の場合の年間保険料(例)
<給与収入400万円の場合、国保税は協会けんぽの1.87倍>
みやぎ協会けんぽ 23万2400円 (収入比5.81%)
塩竈市国保税   43万3900円 (収入比10.85%)
<給与収入200万円の場合、5割軽減しても1.6倍>
みやぎ協会けんぽ 11万6200円 (収入比5.81%)
塩竈市国保税   18万6700円 (収入比9.34%)

天下:国民健康保険は、宮城県では無職と非正規労働者で73.3%(2016年度)を占め、低所得の加入者が多いのに協会けんぽよりも圧倒的に高い大変、不公平な制度だ。2014年に全国知事会は、国保料(税)を「協会けんぽの保険料並み」に引き下げるために、「1兆円の公費負担増」を政府・与党に要望した。改めて知事から国に要望してほしい。
⇒村井知事:全国知事会と連携し、引き続き国に対し、国民健康保険制度を安定的に運営するための財政支援の拡充を求めるとともに、医療保険制度の一元化を要望する。
天下:知事、「国民健康保険制度は低所得者が多いのに他の医療保険よりも高い」と認めますね。
⇒村井知事:事業主負担のあるなしもあり、どうしても差が出てしまうのは今の制度上いかんともしがたい部分である。おっしゃることはよくわかっているつもりだ。

//国保改善4つの提案//
天下:①子育て世帯を支援するために、子どもの均等割保険料の減免を全市町村で実施するよう指導・助言すること。仙台市では今年度、国が配分する「子ども数に応じた交付金」を活用して、18歳未満の子どもの均等割保険料の3割減免を開始した。
⇒保健福祉部長:交付金の趣旨を踏まえ、市町村との国保運営連携会議で実施事例について紹介するなど情報提供に努めている。

天下:②災害・失業・収入減等に対応する保険料減免制度と医療費一部負担金減免制度を拡充・周知して活用すること。いずれも市町村に申請が必要。保険料減免制度は市町村によって制度や実績に格差があり、医療費一部負担金減免制度は全県で毎年ゼロから2人しか適用されていない。
⇒保健福祉部長:国保運営連携会議で各市町村の減免制度の内容について情報共有を図るとともに、制度の更なる活用や、わかりやすい周知がはかられるよう働きかける。

天下:一部負担金減免制度は、一時的に困った人は助けても、ずっと困っている人は対象とならない。生活困窮者の国保料を免除し、その費用は国庫で補う制度を国に求めよ。
⇒保健福祉部長:今後も他の都道府県と連携して、引き続き国に要望する。

天下:③短期証・資格証明書は安易に発行しないこと。短期証の留め置きは無保険につながるので直ちにやめるよう指導すること。
⇒保健福祉部長:11月末に、対象者の実情等を十分に調査し画一的な対応を行わないことや、留め置きに関する適切な対応等について、改めて市町村に通知した。

天下:④来年度、国保税を引き下げよ。
⇒村井知事:国の財政支援措置を最大限活用することなどにより、被保険者の保険料(税)の負担が急激に増加することがないよう努めたい。

「みやぎ子どもの心のケアハウス事業」2021年度以降も継続の方向

宮城県の不登校の児童生徒数が全国ワーストという中で、県は独自事業として、2016年度から「みやぎ子どもの心のケアハウス運営支援事業」を開始しました。子どもの状態に応じて、家庭訪問、ケアハウス、学校別室で、それぞれ心のケアや学習支援を行っており、現在は19自治体に広がりました。事業に取り組んでいる市町村は、取り組んでいない市町村より学校復帰率が高いという報告も出ています。
この事業は、2020年度まで5年間の事業でしたが、21年度以降も継続するよう求め、教育長は、「2021年度以降も事業を継続する方向で、関係部局と調整を進めている」と答えました。

子どもの貧困対策4つの提案

(1)全市町村で「子どもの貧困実態調査」を
天下:現在、調査が行われているのは、仙台・白石・大河原・柴田・利府・松島・美里・石巻・多賀城の9市町です。全市町村の実施を指導すること。また、「貧困層の割合」の調査方法が国の貧困率とも違うと同時に、市町村でも差異があります。県が調査の精度を高めるために努力すること。
⇒保健福祉部長:未実施市町村に対して、調査のモデル事例の共有や研修会の開催を通じて実施を促す。データの精度を高められるよう、専門家のアドバイスをいただきながら、市町村との情報交換を通じ検討する。

(2)貧困の連鎖防止のために学習支援事業を全市町村で実施せよ
天下:現在、実施しているのは仙台・石巻・塩釜・白石・岩沼の5市と、県実施分として21町村を対象に10ヶ所です。
⇒保健福祉部長:全市で実施されるよう働きかける。町村を対象とする県実施分についても、地域状況を勘案しながら、会場の増加を検討する。

(3)母子父子家庭医療費助成制度を窓口無料にせよ
天下:ひとり親家庭の約5割が貧困世帯です。宮城県母子父子家庭医療費助成制度は償還払い制度(一旦払って後から戻る)ですが、窓口負担のない現物給付にすること。現物給付にすると、国は国保の国庫負担減額調整(ペナルティ)を課しますが、その額は5600万円程度。県が半分負担することで市町村との合意形成を図ること。
⇒保健福祉部長:2017年1月に市町村の意向調査を行ったところ、「現物給付に賛成」は11自治体であり、現段階では難しい。今後とも市町村の意向把握に努めながら、導入の可能性を検討する。国へは全国一律の制度設計とペナルティの廃止を要望する。

(4)被災児童生徒就学援助事業補助金を2021年度以降も継続するよう国に要請せよ
天下:2017年度は6902人の小中学生に学用品費や通学費、学校給食費などで総額11億2591万円が補助されています。東日本大震災の被害が子どもの教育格差や貧困の連鎖につながらないよう、被災した子どもたちへの継続的な経済支援は重要です。
⇒教育長:2021年度以降も実施できるよう、財源措置を国に要望しており、今後も継続する。

宮城県の農林水産部:2019年度から「農政部」と「水産林政部」に分割

天下:農林漁業と農山漁村は食料と国土、環境を守る社会の基盤です。「競争力のある儲かる農林水産業」と言って大規模化や企業参入にばかり力を入れるのではなく、国連で可決した「家族農業の10年間(日本も賛成)」を踏まえて、「圧倒的多数を占める小規模家族農業と小規模沿岸漁業を支えて農林漁業の再生」にこそ、力を注ぐべきだ。
農林水産部長:県としては、経営規模の大小に関わらず、家族経営も含めた様々な農林漁業者が活躍できる農林水産業・農山漁村の構築に努める。

水産加工業への3つの支援を提案

水産庁のアンケート結果では、売上が8割以上回復した水産加工業者は未だ54%。原料価格や資材・運賃の高騰と人手不足が経営に打撃を与えています。水産加工業は宮城の重要な基幹産業であり、沿岸市町の地域経済再生のために以下の支援を求めました。

(1)復興期間終了後の2021年度以降も販路回復等への支援を継続すること。
⇒農林水産部長:今後も財源の確保に努め、引き続き必要な支援を行う。

(2)グループ補助金の自己負担分の返済がピークを迎えており、返済に悩む事業者もいるが、高度化スキームや銀行借入の償還猶予を延長するよう国や関係機関に働きかけること。
⇒経済商工観光部長:高度化スキームについては、事業者の状況等を踏まえて、猶予期間の延長など償還期間の見直しを行っている。県内金融機関には、返済に係る柔軟な対応について県から依頼する。

(3)商品開発やブランド化への技術的支援を強化するため、現場での技術指導や相談体制を構築すること。
⇒農林水産部長:県では、水産加工公開実験棟で水産加工品の試作支援や技術相談への対応、最新加工機器の情報提供を実施。「みやぎ産業振興機構水産加工業ビジネス支援室」と連携し、個々の事業者への伴走型支援を行っている。また、復旧した水産加工公開実験棟の運営が軌道に乗ったことから、県内各地への訪問指導や相談体制の充実を図る。

最後に私は、来年10月からの消費税10%増税について、「魚は8%でも、資材や運賃は全て10%。価格にも転嫁できないし、魚の消費低迷も深刻。末端の苦しみがわかっていない」という業者の切実な声を伝え、増税中止を国に要請せよと知事に迫りました。

<11月1日に共産党塩釜市議団と石巻にある水産加工公開実験棟視察>

水産特区の教訓を踏まえ漁業法改定案は廃案にすべき

11月県議会では、12月6日に一般質問で、県内の首長と県会議員が地元紙のアンケートで村井知事の弱点として指摘した「農林水産業・子ども・医療」を中心に質問しました。順次報告します。

 村井知事は、漁業者や漁協の猛反対を押し切り、企業に漁業権を付与して浜に無用の対立と混乱を起こしました。国と県から約4億4,700万円の補助金を投入しましたが赤字が続いています。知事は、「宮城の事例が国に成功と評価された」と言いますが、宮城の水産特区は決して全国に誇れる成果をあげたわけではありません。
漁業法改定案が実施され漁業権が企業に付与されると、漁協による漁場の利用調整ができなくなり浜に混乱を招きます。大企業の場合、利益は地元には還元されず、漁業者の自治を壊すことになります。水産特区の教訓も踏まえ、漁業者置き去りの漁業法改定案は廃案にすべきです。
 村井知事は、「既存の漁業権者が漁場を適切かつ有効に活用している場合は、引き続き漁協による漁場の利用調整が重要。その上で、利用度が低下した浜では、地域内外から新規参入者を確保できるようにすると聞いている。県としても今回の改正により、海面の効率的な活用がより一層図られることを期待している」と答えました。

◆新規漁業者の確保と定着のしくみ作りこそ重要
宮城県の漁業就業者数は、2008年の9753人から2013年には6516人と激減し、高齢化も進んでおり、新規就業者の確保と定着のシステムづくりは待ったなしです。宮城県は、2017年度から「みやぎ漁師カレッジ」を開催し、これらの取組も含めて2017年度は37人が新規就業しました。
私は、新規就業者の確保と定着にもっと力をいれてほしいと訴え、特に所得向上に着目した環境整備が重要と指摘しました。長崎県では、年間170人前後の新規就業者を確保していますが、終業後の研修として、技術向上及び複合経営化のための技術研修を行い、県が研修者と指導者を支援しています。宮城県でも検討を求めました。
 農林水産部長は、提案を受け止めて研究したいと答えました。