「富県宮城」から「県民の暮らし優先」の県政へ(9月議会から)

宮城県の「将来ビジョン」は、県政運営の理念として「しっかりと経済基盤を築き、創出された富の循環によって、福祉や教育、環境、社会資本整備などへの取組を着実に進めていくことが必要」として、知事は県内総生産10兆円戦略を掲げ、製造業の大企業誘致に力を入れ、福祉や教育はお金がないからと後回しにしてきました。

県内総生産は1兆円伸びたとしていますが、2014年の勤労者世帯の家計収支は、実収入が前年より▲1.8%減少して2年連続減少。一方、直接税や社会保険料などは2.9%増加し、結果、可処分所得は月額11190円、▲2.8%減少して2年連続の減少となりました(宮城県社会経済白書)。更に、2014年度の消費税8%増税が、家計を追い詰めています。

高齢者世帯も大変です。年金は毎年減り続ける一方で、医療や介護の負担が増え、高齢者の貧困が拡大しています。宮城県の生活保護受給世帯は2万世帯を超え、過去最多となっていますが、その増加の原因は年金だけでは暮らせない高齢者の増加です。

県内総生産を伸ばしても、若者からお年寄りまで県民生活は豊かになっていません。そこで私は、今県民にとって必要なことは、「富県宮城」ではなく、「県民の暮らし優先」の県政への転換だとして、以下4点を提案し、知事に将来ビジョンの見直しを求めました。

①雇用を安定させて正規職員を増やし賃金を上げる「働き方改革」を行うこと。

②県民の安心と雇用の場を広げるためにも、医療・福祉の充実を積極的に位置づけること。保育所や介護施設の整備は、働いて税金を払う人を増やすことにもつながる。

③もうからなければ逃げていく大企業誘致ではなく、宮城の基幹産業である農林水産業や地場産業、地元の中小業者が元気で頑張れるしくみ作りに力を入れること。

④これらを担う人づくり、教育の充実を図ること。

 

具体的には、以下の問題を取り上げました。

(1)雇用の安定と「正社員が当たり前」の社会をめざして

●ソニーが事業の一部を震災後譲渡・売却して設立した企業「デクセリアルズ」多賀城事業所の継続を県から働きかけよ。

●宮城県の雇用者数は10年間(2002年~12年)で4万3千人増えたが、内訳は、正規職員が3万9700人減少し、非正規職員が8万2700人増加。約4割が非正規職員となった。今年7月の宮城県の有効求人倍率は1.40倍だが、正社員は0.88倍。非正規職員の正社員化は待ったなしの課題。

●県庁職員は、知事部局の19.3%、教育庁の28.5%が非正規職員。県庁から正職員化を進めよ。

(2)地場産業・中小企業支援、医療・福祉の充実で地域経済の好循環を

●沿岸部の事業所数及び従業員数の減少が大きい。中小企業グループ補助金自己負担分の融資返済が本格化するにあたり、売上が伸びずに苦戦している事業者への返済猶予延長を関係機関に働きかけること。水産加工業へのきめの細かい支援。

●地場産業と地元業者を育成・支援する産業振興策。

●産業別で、震災前に比べて一番従事者が増えたのが「医療・福祉」。介護職員や保育士の待遇を改善して、特養ホームと保育所を増やすこと。

●卸売業・小売業の従事者が一番減っている。高齢化・過疎化に伴う買い物難民の対策を。

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