喜多明人氏(早稲田大学文学学術院文化構想学部教授)と、小森美登里氏(NPO法人ジェントルハートプロジェクト理事)、足立智昭氏(宮城学院女子大学教育学部教授)の3人のお話しを伺いました。
喜多氏は、子どもの権利条約の立場から子どもの目線で関わることの大切さを強調し、いじめ防止対策については、「みやぎ子ども・子育て県民条例」を活かして、「安心してSOSを発信する環境づくり」を提起。不登校問題では、フリースクールやフリースペースなどの学校外の多様な学びの場の形成について提言。また、教師の抱え込み体質が障碍となっているとして、いじめも不登校もいつでも「ある」ことを認めて、子どもを追い詰めないこと。最後に学校、教師は既に「限界」であり、支援体制の確立が必要と提言しました。
小森氏は、19年前に15歳の娘さんをいじめ自殺で失い、NPO法人を立ち上げていじめ防止対策に取り組んでいる方です。いじめは著しい人権侵害であり、人の考える力と生きる気力を奪ってしまう「虐待」と同じだと認識すること。重大問題が起きたときに、学校と親の当事者間で情報を共有し検討するシステムができていない。学校のいじめ問題対策チームのスキルアップが必要、加害者にはその背景に寄り添うことが必要だと話されました。
足立氏は、いじめ、不登校の1000人当たりの件数が宮城県はいずれも全国ワースト2位(2016年)であり、人口10万人比のDV件数は全国1位(2011年~14年)であるとして、震災によるトラウマの問題や貧困との関係について述べられました。そして、宮城県は医療・福祉と心理と教育の組織がバラバラだとして、連携を図る「メガ災害発達支援センター」構想について提言しました。