国保の都道府県単位化=「住民が払える国保税」へ

2018年4月から始まる国民健康保険都道府県単位化に向けて、宮城県の運営方針案の説明を受けました。

<国保の都道府県単位化で何が変わるのか?>

◆保険者(運営主体) 市町村 ⇒ 宮城県+市町村

◆県の役割:国保の財政運営の責任主体

・市町村ごとの納付金を決定し、納付金算定に必要な標準保険料率を示す。

・市町村事務の標準化・効率化・広域化

・財政安定化基金の設置と貸付・交付、etc.

◆市町村の役割:資格管理、保険給付、保険料(税)の賦課・徴収、保健事業

・県が定めた納付金を全額納付

・県が示した標準保険料率を参考に保険料率を決定、etc.

 

<「無職」の割合45.8%、保険料の「法定軽減」割合52.5%

県全体で国保世帯主の職業(2015年度)は、「無職」45.8%、非正規雇用等の「被用者」23.3%、「自営業」12.4%、「農林水産業」4.0%です。「無職」は2008年度32.6%でした。7割・5割・2割など保険料の法定軽減世帯割合(H26年度)は県全体で52.5%と半数を超えています。2009年度は41.4%でした。年々、無職者や保険料の軽減が必要な低所得世帯が増えていることがわかります。

 

<宮城県の運営方針案と私の提言>

①国民皆保険の趣旨から、いつでも、どこでも、誰でもが保険証1枚で必要な医療が受けられることと、能力に応じた負担が基本だ。住民が払える保険料にすることが大事だと思うがどうか?

⇒(保健福祉部長)制度の趣旨は生かすべき。負担も適正な負担となるようにしたい。

②市町村でため込んでいる財政調整基金(以下、基金)を国保税引き下げや低所得者対策に使うよう、市町村に助言・指導せよ。

平成27年度末の宮城県内の市町村の基金は全体で194億6636万円にのぼり、被保険者1人当たりで3万4764円となります。この額は、全国平均の9,322円の3.7倍にあたり全国ダントツ1位です。宮城県から15%ためよと言われたという市町村の話もあり、県の指導の是正を求めました。

③「応益割と応能割の割合」が現状と逆転、応能割を増やせ

県は、標準的な保険料率や納付金の算定方式について、応益割と応能割の割合を「52:48」と提案してきました。2015年度の県平均の割合は「48.33:51.67」と応能割が高くなっていますので、逆転することになります。

応益割は世帯やその人数に応じて賦課され、応能割は前年所得や資産に応じて賦課されますので、応益割比率が高いほど低所得者の保険料は高くなります。

そこで私は、応益割と応能割を「40:60」にすることを提案し、被災地で低所得者が増えている中で、少なくとも現状と逆転して応益割のほうが高くなるのは問題だ。改めよと指摘しました。

⇒(国保医療課長):国のガイドラインに準拠している。市町村との連携会議で確認したことだ。

(天下):国のガイドライン自身が「技術的助言」であると言っている。決めるのは宮城県だ。

⇒(保健福祉部長):そういう意見があったことを市町村との連携会議で伝えて議論する。

④保険料の試算を公表し、市町村議会や住民の理解が得られるような進め方をせよ

(天下):標準保険料率を市町村に提示するのはいつか。

⇒(国保医療課長):国の係数が発表されるのが年末になるため年明けになる。

(天下):それでは市町村が2・3月議会にかけて住民に説明して理解を得ることは大変だ。保険料の試算を公表して、住民にわかるようにすべきだ。

⇒(国保医療課長):国の方針が出ない中で試算の公表は混乱を招くのでできない。

(天下):このままだと、来年の春に保険料のカップを見て初めて住民がわかることになり問題だ。

⇒(保健福祉部長):市町村議会や住民の理解なく進めることは良くないので、今後の協議で検討したい。

※宮城県国保運営方針案は、5月に宮城県国保運営協議会に諮問して、6~7月にパブリックコメントの募集(1か月間)、6~10月に市町村の意見聴取を経て、11月に運営協議会の答申が出され、12月に運営方針の策定・公表の予定で進められます。パブリックコメントは、国のガイドラインでは「しなくてもいい」と書いてありましたが、何度も質問で要請して実現させたものです。皆さんの率直な意見を寄せていきましょう。

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