月別アーカイブ: 2016年8月

宮城県の子ども医療費助成拡大:通院就学前まで

8月19日の保健福祉委員会で、県の子ども医療費助成を来年度から以下のように拡充する方針が報告されました。

◆対象年齢  入院:就学前 ⇒ 就学前(現行通り)

通院:3歳未満 ⇒ 就学前

◆所得制限 あり

◆一部負担 自己負担なし

◆拡充のための予算 8億円

私は、今回、県民の長年の願いがかない子ども医療費の拡充が実現したことについて、保健福祉部のご苦労に感謝の言葉を述べました。そして、乳幼児医療ネットワークみやぎが市町村担当課に対して行ったアンケート結果が「通院・入院とも中卒まで拡充してほしい」が51%、「所得制限なし」が48%だったことから、県が中卒まで拡充することと所得制限の撤廃を更に求めました。

<ひとり親家庭の「一部負担金なし」を求める>

今回の拡充で、子ども医療費は、就学前までは入院・通院ともに窓口での「一部負担金なし」となります。しかし、ひとり親家庭の医療費は償還払いで、窓口で一度払って、あとから戻ってくるしくみです。ひとり親家庭の医療費も窓口負担ゼロにするよう求めました。子育て支援課長は、国のペナルティ廃止の動向をみて検討すると答えました。

7月の保健福祉委員会で「放射能被ばくに対する子どもの健康調査の実施を求める請願」自民・公明により否決

7月21日の保健福祉委員会で、標記請願が県民の声と日本共産党(大内・天下)の3人は採択を求めましたが、自民党・公明党の5人の不採択多数で否決されました。今後9月議会の本会議で採決が行われる予定です。委員会では以下のような質疑を当局と行いました。

天下:福島県での小児甲状腺がん及び疑いの方は172人(6/6現在)。北茨木市や丸森町でも発見されている。小児の甲状腺がんの罹患率に比べて大変高い数字になっており、それでも原発事故との因果関係はないという根拠は何か?

健康推進課長:国で出している罹患率、ガン登録の値は、臨床症状があって受診した患者さんのデータの集積。今回の福島の健康調査は、症状のあるなしに関わらず18歳未満全員に行っている検査であり、国の罹患率と単純に比較できない。原発事故と関係ない長崎、弘前、甲府でも福島同様の検査をしたが、福島と大きな発見率の差はなかったので、福島の小児甲状腺がんの発生が被ばくによるものとは考えにくい。

天下:福島の健康調査は被ばくとの関係はないと言いながらも、引き続き検査は重要だと言っている。宮城県は福島の様子見だけをしていて、結果として早期発見の遅れにつながるのではないか?

保健福祉部長:有識者会議の意見(2012年1月)では影響は考えられないという意見なので、県としては方針を変えるまでの変化はないと考えている。

天下:状況の変化はある。この間、これだけのガンの患者が見つかっているのだから心配も大きい。しっかり検査して早期発見、早期治療につなげていくという立場が非常に大事ではないかと思う。

保健福祉部次長:肺がんや乳がんなどの他のガンは、早期発見・早期治療をすれば延命効果もあるが、甲状腺がんは、発育、ガンの進展も遅いし、小さいしこり、ガンがあっても天寿を全うされる方もいらっしゃるし、がん検診には甲状腺がんはなじまない。むしろ検診をすることで多くの不安を掻き立てることになる。甲状腺がんの場合は、症状が出てからでも手術等々すれば、生存率も100%近く、予後もいいガンですので、むしろ検診をやることで、不安の増長や混乱などもあり、デメリットの方が大きい。福島の健康調査の今後の結果は見守る必要があるが、本県としては、今の時点でこの検診をやる必要はないと思います。

天下:チェルノブイリでも、ベラルーシなどではガンの増加や他の健康問題なども出てきているとのことですので、100%安心だと言いきってしまうのでなく、健康調査を原発事故を踏まえた対策のひとつと位置付けていくべきです。

<天下所感>

当局との質疑を終えて、「本当に甲状腺がんは発見が遅れても100%近く治るガンなのか?」「甲状腺がんの検診は害悪なのか?」、更に調査していきたいと思います。子どもの健康調査については、自治体が実施すれば、費用は国が特別交付税で措置します。これを使って、宮城県内でも丸森町では独自の健康調査を行っています。他の市町にも不安で甲状腺の検査を行っている方々がたくさんいます。しかし、県や市町村が認めないために、その費用は自己負担や医師等のボランティアであったりしています。

私は、県民の願いに寄り添って、引き続き頑張っていきます。

 

 

 

 

8/10 被災者医療費一部負担免除措置:75歳以上の再開を要請

8月10日、後期高齢者医療広域連合議会の日本共産党会派(けやきグループの会、会長:曽我ミヨ市議)6名は、広域連合の奥山連合長に、75歳以上の後期高齢者の被災者医療一部負担免除の再開を要請し、私も同席しました。

被災者医療の国保については、気仙沼市、石巻市、東松島市、塩釜市、多賀城市、名取市、女川町、松島町、七ヶ浜町の9市町が今年度も免除を継続していますが、後期高齢者医療は広域連合が4月から1万4千人の免除を打ち切りました。

5月から県民センター、社保協等が行った仮設住宅や災害公営住宅の住民を対象としたアンケート調査では、被災者の経済的困難や受診抑制の懸念が明らかとなっています。既に2014年からは被災者医療免除措置の対象は非課税世帯となっており、75歳以上の低所得者の免除打ち切りは命にかかわります。

8月4日に行われた広域連合議会で、広域連合には今年度末段階で62億円の基金があることがわかりました。2015年度に実施してきた一部負担免除のための費用は12億8千万円でした。そのうち8割は国の特別調整交付金で支援され、2割が市町村負担となりました。62億円の基金の一部、約3億円を活用すれば市町村負担を軽減できます。

けやきグループの会は、基金の一部を活用して後期高齢者医療の一部負担免除を再開するよう要請しました。広域連合の事務局長は、連合長(奥山仙台市長)と全市町村長に伝えると答えました。

 

住民の粘り強い運動で浦戸防潮堤の引き下げ実現!

8月8日、野々島ブルーセンターで、県主催の防潮堤整備方針についての住民説明会が開かれ、日本共産党からは、曽我ミヨ市議と小高ひろし市議、県議の天下が同席しました。説明会では、野々島、桂島、石浜の防潮堤を3.3mから2.1mに引き下げる方針が示され、参加者の拍手で確認されました。

県の説明では、東北学院大学のチリ地震津波シミュレーションの見解を受けて、東北大学の学術的検討会に県も参加して共同で検討しました。その結果、野々島の平和田から柏木島の区間、桂島漁港から石浜防波堤の区間は、松島海岸と同じTP+2.1mが採用可能であると判断されました。

説明会終了後、参加者からは「海が見えないと生活のリズムがつかめない。これで安心して生活できる。」「あの女性部の懇談会(2014年9月2日)が転機になった。良かった。」などの声が寄せられました。住民の粘り強い運動が行政を動かしました。

8月8日浦戸防潮堤の住民説明会18月8日浦戸野々島にて

<住民の運動と連携して>

日本共産党は、何度も浦戸を訪問して住民の意見や要望をお聞きし、県議会と市議会で取り上げ、村井知事と佐藤市長に「住民の意思を尊重して防潮堤を引き下げよ」と迫ってきました。以下、今日までの経過をまとめました。

◆2013年11月16日:共産党県議団4人と塩釜市議団で浦戸諸島の防潮堤建設計画について現地調査。各島の方々から、「太平洋側は4.3mでいいが、内湾側は高すぎる。引き下げてほしい。」の声がたくさん寄せられました。

◆2013年11月20日:浦戸振興推進協議会が内湾側の防潮堤高引き下げの要望書を塩釜市長及び市議会に提出。塩釜市議会では全会一致で宮城県に「浦戸防潮堤の見直しを求める意見書」可決。

◆2013年12月2日:日本共産党の三浦一敏県議が浦戸防潮堤問題で一般質問。

◆2013年12月13日:天下が討論で浦戸・無人島4島の防潮堤建設(20億円)見直しを要請。

◆2014年2月5日:県と塩竈市が野々島で住民説明会。内湾側の防潮堤を1m下げて3.3mにする方針を説明。更なる引き下げを求める声が出された。曽我市議と天下が同席。

◆2014年8月20日:浦戸振興推進協議会総会で、3.3mを引き下げてほしいという要望が女性部の方から出され、女性部と懇談することになった。

◆2014年9月2日:市議団と天下は、野々島で女性部15人と懇談。日々の生活や名勝松島の景観を守るために、3.3mを引き下げてほしいと次々要望が出された。

◆2014年9月8日:市議団と天下で、塩釜市長に緊急要請。住民との話し合いを親身に行うことを求めた。

◆2014年12月9日:天下が浦戸防潮堤問題で一般質問。過去の調査資料から3.3mの根拠はないと主張し、松島海岸では2.1mとなっていることを指摘し引き下げを求めた。

◆2015年6月26日:天下が浦戸防潮堤問題で一般質問。6月3日の野々島の説明会に8~9割の住民が参加し、「3.3mの防潮堤はいらない。住民の総意だ」と訴えたことを取り上げ、引き下げを求めた。

◆2016年4月14日:曽我市議と天下で寒風沢、野々島、桂島の復興状況調査。野々島では、住民が「宮城県が計画する防潮堤高TP+3.3m」と「住民が望む防潮堤高TP+2.3m」の高さを示す看板を設置していた。県や市が防潮堤高にこだわることで復興が遅れている実態を聞いてきた。

◆2016年5月6日:市議団と天下で塩釜市復興局から防潮堤についてレクチャー。

◆2016年5月11日:曽我市議が全国災対連の国会行動で浦戸防潮堤の引き下げを要請。

◆2016年年5月17日:曽我市議と天下で県の河川課から浦戸防潮堤についてレクチャー。

◆2016年6月28日:三浦県議が浦戸防潮堤問題で一般質問。松島海岸同様の2.1mへの引き下げを要請。

◆2016年8月8日:住民説明会でTP+2.1mへの引き下げを説明・合意。

 

 

 

 

「県立循環器・呼吸器病センターの存続を!」:8/1瀬峰住民との懇談会

8月1日、日本共産党県議団と栗原市議(共産党以外の市議も参加)、登米市議で、瀬峰住民との懇談を行いました。住民からは存続を求める意見が次々と出されました。

「結核療養所という時から関わってきた。住民が犠牲的精神で土地を提供した。当時、肺病と言って敬遠されたが、結核を蔓延させないと、この村全体で引き受けた。当時は満室状態だった。今、赤字経営だからということで地域住民の信頼を失っていいのか。心臓や消化器でお世話になってきた。糖尿病教室を2週に1回開いて、日常生活や食事についても教えてもらっている。登米からも患者さんがだいぶ来ている。跡地ありきでなく、老健施設の前に医療をしてほしい。環境も最高の所だ。廃止ありきでなく方向転換を!」

「結核患者は入院日数が長い。充実した医療設備が必要。県北は医療機関が少なく、高齢化して交通手段がない。病院にかかるのは命をつなぐこと。高齢化社会に向けて、医療機関の充実は必要。瀬峰からもなくしてはダメ。」

「全盲の視力障がい者。この病院を廃止ありきと聞いて、7/15の説明会ではみんな怒っていた。なくすことには反対。地域の命を守る県の役割が欠けている、県の努力がないと指摘されていた。赤字だから廃止、医師の確保ができないから廃止、栗原に押し付けて、栗原でも二の舞にならないか。登米と瀬峰の人が中心にかかっている。登米とタッグマッチ組んで病院をなくさないようにしてほしい。」

「登米でも説明会を開くべき。ベーチェット病でかかっている。是非、ここに病院を置いてほしい。循環器の診療所はあるが、夜はやっていない。ここは夜も診てくれる。」

栗原市議からは、「7月1日の全員協議会では、議員全員寝耳に水だった。建物を栗原市のどこに建てるのか?市立の結核療養所があるのか?など疑問が出されたが、ほとんどこれからの協議だということで具体的にはわからなかった。市長も挨拶で帰ってしまい、栗原市として受けるかどうかもわからなかった。」登米市議からは、「登米市民もお世話になっている。登米市にとっても大切な問題。登米市民病院でもそうだが、病院赤字の最大の課題は医師の確保。」という意見が出されました。

私は、循環器・呼吸器病センターは瀬峰や登米の住民にとってはなくてはならない病院であり、存続のための検討が必要であると思いました。

追記

8月19日の保健福祉委員会で、この住民の声を届けました。医療整備課長は、「市の意向を確認して、この間行った説明会の意見を県北地域基幹病院連携会議に報告し判断する。」と答えました。私は地元住民の合意なしに進めないよう求めました。

 

東北新生園:地域に開かれた将来構想の検討・具体化を!

8月1日、日本共産党県議団と登米市議、栗原市議団、総勢12名で国立療養所東北新生園を訪問し、新生園の将来構想について、全医労新生園支部との懇談と、園及び自治会長さんとの懇談を行いました。東北新生園の入所者は71人、平均年齢は86歳とのことでした。

日本共産党県議団は、3年前の2013年8月にも訪問し、新生園と自治会・職員で作った将来構想の説明を受け、その具体化のための検討委員会設置を県議会で求めました。2014年12月26日に「東北新生園の将来構想を進める会」が開催され、これまで4回の会議が行われてきました。

今回、事務長さんの説明では、病棟を新しく建てる予算が27年度に通り、28年度設計、29年度着工、31年度完成予定で建設工事が行われるとのことでした。エネルギー棟、洗濯棟についても予算が付き、さくら財団からの寄贈でさくらの植樹が行われていました。一方、ニュージーランド村を参考にした陸上トラックや釣り堀などは、入所者が直接利用しないということで厚労省から認められず、整備は進んでいません。また、地域の方も活用できる介護施設や障がい者施設等についても、登米市に打診したら、進出事業者はいないと言われたとのことでした。

療養環境の改善のために新しい病棟が整備されることは朗報ですが、新生園の施設を地域に開放する構想の具体化が図れていないことが気になりました。2009年4月1日施行の「ハンセン病解決促進法」では、「地方公共団体の責務として、ハンセン病であった者の福祉の増進を図るための施策を策定し、実施する責務を有するとし、土地や施設を地方自治体や住民に提供できる」と定めています。全国では、これを受けて、特養ホームや保育所の建設が行われたり、全国13園中9園で一般外来の開放を行っています。新生園はいずれも行っていません。

自治会長さんは、「最後の一人になりたくない、この地に最期までいたい」と何度も繰り返しておっしゃっていました。地域に開放した施設にすることで、その願いをかなえることができます。また、労組の方からは、「入所者の方は年間10人くらいずつ亡くなられており、働くものとしては今後どうなるか不安。」との声がありました。地域に開かれた施設としての将来構想の検討・具体化が求められていると思いました。

追記

8月19日の保健福祉委員会で、東北新生園について取り上げ、入所者の療養環境の整備にめどはついたので、施設の開放について検討するよう求めました。疾病感染症対策室長は、「施設の共有は大きなテーマと認識している。今後は敷地内の散歩コースを開放して来園者を増やす」と答えました。私は、「それは大いに進めていただきたい。同時に、県がリーダーシップを発揮して、医療や介護施設としての開放を検討してほしい」と更に迫りました。室長は、「5回目の会議が秋に開催予定なので、その場で議論されるものと認識している」と答えました。

 

 

塩竈市浦戸、桂島・野々島の防潮堤1.2m引き下げ実現!

8月4日今朝の新聞で、宮城県が、桂島・野々島の内湾側の防潮堤高について、2.1m引き下げて松島海岸と同じ2.1mにする方針を決めたことが報道されました。

住民の皆さんが市や県に粘り強く要請して頑張ってきた運動の成果です。私たち日本共産党も、市議団が市議会で、私が県議会で何度も取り上げてきました。6月議会では、三浦県議の一般質問でも取り上げてもらいました。

8日の説明会には、私も参加し、県の詳しい説明と住民の皆さんの声を聞いてきます。

塩釜・汚染土壌処理施設建設計画 1年強の延期

8月1日、塩釜市港町に汚染土壌処理施設の建設を計画していたDOWAエコシステム(株)が、日本共産党塩釜地区委員会を訪れ、1年強、建設計画を延期する旨の「お知らせ」を届けていきました。

その内容は、「来年の1月に予定されている土壌汚染対策法の改正に伴い汚染土壌の市場が変化する可能性が出てきたのを受けて、土壌汚染対策法が改正された後、汚染土壌の市場の変化を十分見極めることになった」というものです。

日本共産党は、塩釜市議団が市議会で、私が県議会でこの問題を取り上げ、塩釜に進出しないよう、市長や知事に迫って来ました。塩釜の水産界は、処理施設の建設と塩釜港での取り扱いに反対し、「塩釜の環境を守る会」を結成して、1万590人分の署名を集めて、県知事に届けていました。

塩釜での汚染土壌処理施設の建設は、計画延期ではなく撤退を求めて、引き続き、「守る会」の皆さんと一緒に、運動を進めていきます。