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議会最終日、意見書をめぐって 「選択的夫婦別姓の導入」vs「旧姓の通称使用の法制化」で大攻防

共産党県議団は、自民党提案の「旧姓の通称使用の法制化」については、今以上の煩雑な手続きを事業者や各個人に強いる恐れがあり、姓名は人格権の大事な一部だとして反対し、「選択的夫婦別姓」を導入すべきと討論を行いました。

結果、「選択的夫婦別姓の導入」には、県民の声・共産・公明・立憲無所属クラブ・維新の6会派が賛成しましたが、自民・21世紀クラブ等の反対で否決され、「旧姓の通称使用の法制化を求める意見書」が可決されました。

 

<共産党県議団が提案した意見書>

「食料の安定供給及び食料自給向上に向けた対応強化を求める意見書案」は、自民党が一部修正し、全会一致で可決されました。

「高額療養費の自己負担限度額の見直し中止を求める意見書案」及び「診療報酬・介護報酬引き上げの臨時改定を求める意見書案」は、自民・公明・維新・21世紀クラブの反対で、政調会長会議で「不調」となりました。

“子どもの心のケアハウス” 市町村への支援継続を求める(文教警察委員会にて)

「みやぎ子どもの心のケアハウス」は、学校への登校に不安や困難を抱えている児童生徒の社会的自立に向けて、教育相談や別室登校・家庭訪問による支援、学習支援等を行うものです。現在、34の市町村が設置・運営し、県が財政支援を行っています。利用者は年々増加し、2023年度の支援児童生徒数は延べ13026人、保護者相談人数は延べ7830人に上っています。

ところが、宮城県は2026年度に向けて市町村への財政支援のあり方を検討するとしており、市町村から強い継続の要望が出されています。財源は国の被災者支援総合交付金とみやぎこども育英基金等で構成されています。

天下みゆきは文教警察委員会で、事業が継続できるよう、財源確保に向けて国及び県の財政当局と本気で折衝するよう求めました。教育長は、「子ども家庭庁とも折衝中である。県の財政当局とはいつまで支援できるか、来年度中に調整したい」と回答

女川を使用済核燃料の最終保管場所にするな

再稼働した女川原発2号機の使用済み核燃料を「一時的」に保管する乾式貯蔵施設の設置について、天下みゆきの論戦で以下のことが明らかになりました。

ひとつは、保管が「一時的」である保証について、知事は「国の第7次エネルギー基本計画に、乾式貯蔵施設の使用済み燃料は、六カ所再処理工場へ搬出するという方針が明記されたので一時的だ」としていることです。しかし、六カ所再処理工場は昨年8月に27回目の工事延期を行い、いつ稼働するのかわかりません。

「最終保管場所にさせない」と言えない村井知事

2つ目は、天下みゆきが「女川原発を使用済み核燃料の最終保管場所にさせないという意思は知事にあるのか」と問うたのに対し、知事は「国が一時的と言っているので、最終保管場所にはならないと思っている」と、他人事のような答弁をしました。「最終保管場所にさせない」という知事の決意はありませんでした。

3つ目は、乾式貯蔵施設設置に対する同意の可否について知事が判断する前に、県民と県議会の意見を聞くことを求めましたが、知事は「意見を聞く」とは答えませんでした。意見を聞かずに「同意」すれば、民主主義の大問題です。

女川を使用済み核燃料の最終保管場所にしないためには、乾式貯蔵施設の設置はやめて、女川原発2号機の稼働を止めることです。

物価高騰に苦しむ中小業者に賃上げの直接支援を

宮城県の企業の99.8%が中小企業で、従業員数の86.1%が中小企業で働き、地域経済を支えています。天下みゆきは、「中小企業は自己努力だけでは賃上げは難しいのが実態だ」として、岩手県の物価高騰対策賃上げ支援金事業を紹介し、「宮城県も賃上げ支援を行うとともに、国にも要望せよ」と求めました。

経済商工観光部長は、「物価高騰対策賃上げ支援金については、賃上げを促す施策の1つと認識しているが、他の様々な事例も含めて研究を進め、必要に応じて国への要望も検討する」と答えました。

<岩手県物価高騰対策賃上げ支援金>

■2023年12月補正:時給50円以上の賃上げを1年間継続して実施することを条件に、従業員1人あたり5万円、最大100万円・20人分支給。事業費は21億円(一般財源が14億6400万円余、地方創生臨時交付金が6億3500万円余。

24年度の支給件数・2889件、支給人数・20313人、支給額・10億1535万円

■2024年12月補正:時給60円以上の賃上げを条件に、従業員1人あたり6万円、最大300万円・50人分に拡充。

 

県民に寄り添う県政への転換求めて代表質問(2/19)

人口減少対策に逆行する村井県政の「富県戦略」

宮城県は2025年度当初予算の重点項目の1番目に「人口減少対策」を打ち出しました。

【天下みゆき】 2月12日にNHKで放送された、江戸時代・米沢藩の上杉鷹山(ようざん)は赤子(あかご)養育政策(いわゆる子ども手当)と高齢者等への地域福祉の充実、結婚した若者に土地を与えて3年間の年貢を免除する政策で、領民のふところを暖め、新たな産業の創出―養蚕と「米沢織」で地域経済の振興を図り、人口をV字回復させた。鷹山の信念は「領民みなが富めば、おのずと人も増えよう」でした。上杉鷹山の人口減少対策についての知事の所見は?

■【村井知事】 すばらしいと思います。

【天下みゆき】 一方、村井知事の人口減少対策は、人口減少を口実に県立病院や県営住宅等の縮小・廃止などを進めて県民に不安を与え、学校給食無償化など多くの子どもに関わる子育て支援は「国がやること」とそっぽを向き、従業員の86%を占める中小企業や農林水産業への支援が乏しい。これでは県民は豊かになれません。上杉鷹山の「領民みなが富めば、おのずと人も増えよう」の教えに逆行するのが村井知事の富県戦略でないか。

――村井知事は「大きな考え方としては同じ方向を向いている」と開き直りました。

 

子育て支援策に本気になって取り組め!

宮城県は、「新・宮城の将来ビジョン」で4本柱の1つに「社会全体で支える宮城の子ども・子育て」を掲げてきましたが、合計特殊出生率は1.07と5年続けて過去最低を記録して全国ワースト3位、県民意識調査では「子ども・子育て環境の整備」が3年連続「不満群」の第一位でした。

天下みゆきは、就学前までの2分の1補助にとどまっている子ども医療費助成の拡充や、学校給食無償化への支援を求めましたが、保健福祉部長教育長は、「国に要望する」「国の動向を注視する」と、県民や市町村の願いに背を向けました。

また天下みゆきは、東北最低となっている私立高校経常費助成単価の引き上げや、教員定数を割る「未配置」を年間通して解消するため、抜本的な教員の増員と教育予算の拡充を求めました。

 

会計年度任用職員 再任用上限一部撤廃へ

天下みゆきは、安定雇用が人口減少対策に欠かせないとし、県の会計年度任用職員について再度の任用は2回までとされていた更新回数の上限撤廃を求めたところ、知事は「来年度、一部の職について撤廃する方向で現在詰めの調整中」と回答しました。一歩前進です。

「不公平ポイント事業」に9月・12月補正で6億7千万円

9月補正の3億1400万円に12月補正で3億6500万円を追加して、総額6億7千9百万円という巨額な予算を計上しているのが知事肝いりの「地域ポイント等導入支援費」です。この事業は、マイナンバーカードを活用したデジタル身分証に自然防災アプリを登録した人に、抽選で20万人に3000ポイント(3000円)が付与されます。

天下みゆきは、「任意であるはずのマイナンバーカードを持っていない人は対象とならず、スマホ等の扱いに不得意な人を排除しかねない不公平な事業だ」と指摘しました。

また、今回応募した利用店舗数約1300店の3分の2がチェーン店であり、各商工会議所や商工会、旅館組合経由で応募した店舗は3分の1のみでした。天下みゆきは、「チェーン店が多ければ本社に利益が行ってしまい、『地域経済活性化』の目的は限定的だ」と指摘しましたが、県は否定できませんでした。

ポイントばらまき予算は減額された教育・医療・福祉等にまわせ

「地域ポイント等導入支援費」の12月補正の財源は「重点交付金」です。重点交付金は物価高騰対策の予算です。天下みゆきは、「地域ポイントに6億円もばらまくことは納得できない。減額された教育、医療・福祉の予算に回すべきだ」と迫りました。知事は「防災アプリの普及のため」と強弁しました。

12月補正 物価高騰対策に31事業・67億円余  (予算総括質疑より)

県の物価高騰対策予算 昨年度より軒並み減少

追加の12月補正で、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金(重点交付金)を活用した31事業が予算化され、採択されました。ところが、約半分の事業が昨年度より支援単価が半額から3分の1に減り予算が減少しました。

私立学校給食食材価格高等対策費は、1食当たり完全給食で40円から21円に、高等学校等修学支援費は、私立が7900円から2900円に、県立が6600円から2400円に、いずれも36%となりました。LPガス料金負担軽減支援費は1契約当たり年間ベースで4800円から1600円と3分の1です。医療機関・社会福祉施設・交通事業者等への事業者支援も軒並み大幅に減額されました。

国の重点交付金 昨年度のわずか半額に

原因は、国の重点交付金の予算総額が半分に減ったからです。2回措置された昨年度は合わせて1兆2千億円の予算でしたが、今年度は1回分で6000億円にとどまっています。宮城県への配分額も昨年度の118億円(2回分)から58億8千万円と半減しました。

天下みゆきは、消費者物価が上昇し続けていることを指摘し、「知事会長として国に物価高騰対策の更なる増額補正を今年度中に求めよ」と村井知事に迫りました。知事は、「必要に応じて他の都道府県の意見を聞いた上で対応を検討する」と答えました。

「中小企業等再起支援事業」 小規模事業者にも使いやすくなりました

12月補正で確認されたこの事業は、コロナ禍や物価高騰等の影響で経営に支障をきたしている中小企業の経営改善を支援する事業で、2020年度以降、既に5000件を超える交付件数となっています。

今回の事業は、補助金申請額の下限を従来の30万円から10万円に引き下げ、補助対象経費が「45万円以上」から「15万円以上」となり、小規模事業者にも使いやすくなりました。また、補助対象事業も①販路開拓、②生産性向上、③新商品開発、④原価抑制に加え、新たに⑤キャッシュレス化、新紙幣対応も追加されました。

  • 補助率 2/3、補助上限額 100万円(下限10万円)
  • 募集期間(予定)

一次募集 2025年1月~2月

二次募集 2025年4月~5月

☆天下の質問で、これまで郵送だけだった申請方法が、郵送とオンラインのどちらかを事業者が選べるようになる予定です。

(※詳しくは、1月半ばに掲載予定の県のホームページ参照)

条例可決後も 宿泊事業者の納得は得られていない

天下みゆきは11月25日、宿泊税条例可決後初めて行われた「宿泊税説明会・意見交換会(松島会場)」に参加しました。

宿泊事業者からは「なぜ反対したのに、改修費用を相当程度負担しなければならないのか」、「経理などの事務費が増え、手出しが発生する」、「お客様に負担を与えてしまう宿泊税導入は心配でしかない」などの不満や不安の声が相次ぎました。

また、7つの圏域ごとに設置される宿泊事業者部会について、事業者から「仙台圏域は亘理・山元から仙台市、塩釜・松島等、黒川群と幅広い。事業者数も多く、地域要望も違う。地域を分けてほしい」という意見がありました。

党県議団は、議会でこれらの声を代弁し、「事業者の納得は得られていない」と知事の政治姿勢を質し、14市町村を対象とした仙台圏域については、更に地域を分けた部会とするよう求めました。