日別アーカイブ: 2019年5月8日

多賀城市の災害援護資金償還の取組を調査

災害援護資金の償還について、多賀城市は県内市町村の中でも償還率が高いとともに、支払猶予件数や少額償還件数が多いという特徴があります。そこで4月24日、日本共産党の塩釜市議団と一緒に、佐藤恵子多賀城市議の紹介で、多賀城市の取組について調査してきました。

2018年9月末現在の災害援護資金の償還率は、仙台市9.0%、石巻市15.3%、塩竈市4.9%、気仙沼市9.8%、名取市15.1%、東松島市21.2%、宮城県全体12.2%と比べて、多賀城市は41.0%でした。尚、直近のデータでは、多賀城市46.3%(2019年2月末)、塩竈市11.1%(2019年3月末)です。
また、2019年1月末現在、宮城県全体の支払い猶予件数は432件、そのうちの少額償還件数は294件で、主な自治体では、仙台市:猶予244件(内少額償還210件)、石巻市:22件(6件)、多賀城市:58件(24件)、東松島市:26件(8件)、大崎市:32件(21件)などですが、塩竈市は猶予も少額償還もゼロでした。

<「福祉の貸付なので寄り添っていく」と多賀城市の担当者>
多賀城市は、以下のような取組を行っていました。
①繰上償還を行えば利子がつかないことから、本人にとっても市にとっても良いと、繰上償還を呼びかけ、繰上償還計画を世帯ごとに出してもらった。
②大変な方には夜間や休日に訪問して相談に応じている。
③親の介護で働けないなど生活に困っている方は、生活困窮者自立支援事業等につなぎ、その間は猶予とした。
担当課長が「この援護資金は福祉の貸付なので寄り添っていく」と話していたことが心に残りました。
2019年2月末現在、免除事例は8人で、全て借受人死亡で相続人がいないケースでした。また、破産や債務整理中、生活保護受給などの償還困難事例が34件ですが、「免除は認められていない」ということで制度上の問題があります。

市長会として国や県に以下の要望をおこなっているとのことでした。
(1)支払猶予について
自治体が災害援護資金の支払猶予を適用し、借受人の償還期間を延長した場合には、自治体の国に対する償還期間を延長すること。
(2)免除要件について
災害弔慰金の支給等に関する法律等に規定されている償還免除について具体的な基準を明示すること。
(3)債権回収に向けた自治体個々の取組みに係る経費について助成を行うとともに、国において債権回収機構等を配置し、専門的かつ専属的に債権回収を実施すること。

<塩竈市に「猶予」と「少額償還」の実施を要請>
4月26日、党市議団と生活と健康を守る会の虎川さんと一緒に、塩釜市の生活福祉課で、塩竈市の取組みについて伺い、多賀城市の取組みについても紹介しながら意見交換しました。
塩釜市では「分割償還」の案内をしており、130人に対応し、12分割より少ない額も認めているとのことでした。多賀城市や他の市町が行っている「少額償還」との違いを聞くと、「猶予」ではないので延滞金はつくとのことでした。延滞金は今年の4月から10.75%から5%に下がったものの、それでも低所得者にとっては重く、塩竈市も「猶予」を認めるよう要請しました。
担当課長からは、「免除」や「猶予」の基準を定めてほしいという要望が出されました。