今、全国の市町村で国保税の値上げが広がっています。塩釜市も日本共産党市議団以外の賛成で、2025年度の値上げが決まりました。背景には、国の方針に基づく「保険料水準の統一」があります。宮城県は、26年度から「納付金ベースの統一」を実施し、30年度から同じ所得水準、同じ世帯構成であれば同じ保険料とする「完全統一」を目標としつつ、遅くとも33年度までの実現をめざすことを決めました。
県が示す「標準保険料率」では国保税が上がるため、これまで市町村は財政調整基金を投入して値上げを抑えてきましたが、基金は枯渇してきています。今後、「完全統一」に向けて、更に国保税の値上げが危惧されます。
公費1兆円を投入して国保税を協会けんぽ並みに引き下げよ
そもそも国民健康保険は、年金者や非正規労働者など低所得者が多いのに、保険料が労使折半となる社会保険に比べて倍近く負担が重い保険です。
天下みゆきは、「国保税はむしろ引き下げが必要だ。かつて全国知事会が提言したように、公費1兆円を投入して協会けんぽ並みにすることを国に求めよ」と迫りました。村井知事は、「国に対して、全国知事会を通じて、国定率負担の引き上げ等、財政基盤強化のための新しい財政支援について、今後も引き続き要望する」と答えました。
住民の願いと地方自治を踏みにじる「保険者努力支援制度」
天下みゆきは、国が定めた「保険者努力支援制度」のあまりにもひどい問題点についてただしました。
<県と市町村をがんじがらめにして国保税値上げを強いる>
市町村はかつて、国保会計が赤字になるときは一般会計から繰り入れて補填してきました。ところが国は、2018年度の都道府県単位化に伴う保険者努力支援制度により、一般会計から法定外繰入をしていない市町村には国の交付金を増やす一方で、繰入をした市町村には交付金を減らし、更に繰入をした市町村があると、都道府県への交付金も減らすしくみを作りました。よって県は厳重な市町村監視役となり、市町村は一般会計からの繰入ができず、国保税引き上げを迫られることになりました。
県と市町村をがんじがらめにして住民に国保税値上げを強いるこのしくみについてただした天下みゆきの質問に対して、保健福祉部長は「保険者努力支援制度については、各市町村の実情に応じた柔軟な運用が図られるよう、国に要望する」と答えました。
<許しがたい!子ども医療費助成にかかる保険者努力支援制度>
国は、18歳未満への子ども医療費助成を独自に行う市町村に交付金を減らすペナルティを講じてきました。これに対して住民運動や全国知事会などがペナルティ廃止を国に要望してきました。その結果、政府が2023年12月に閣議決定した「こども未来戦略」に基づき、24年4月1日から、18歳未満までペナルティが廃止されました。
ところが喜んだのも束の間、厚労省は直後の6月26日付けの「令和7年度保険者努力支援制度」の通知で、子ども医療費の外来医療費を無償化せず自己負担を設けている市町村や、24年度に一部でも窓口負担を復活させた市町村に交付金を増やす措置を示したのです。これは、長年の住民の願いにも市町村の努力にも逆行するもので、全く許しがたい行為です。
天下みゆきは、「交付金を使って子ども医療費助成の窓口負担無償化に圧力をかけることは地方自治の侵害だ。知事は国に抗議し、このしくみを直ちにやめるよう強く要請せよ」と求めました。保健福祉部長は、「この指標は、各市町村が実施している子ども医療費助成の取組と矛盾するものであることから、県では昨年12月に国に対し見直しを要望した。今後も全国知事会などを通じて国に要望する」と答えました。