1.保健福祉部の2016年度最重点項目
保健福祉部長より、今年度の最重点項目は「医療・福祉人材の育成・確保対策(医師・看護師・薬剤師等、保育士・介護士)」と「より困難を抱えている県民への支援(ひとり親家庭やDV被害者への支援、子どもの貧困対策の強化、障がい者の地域生活を支える施設整備の推進)」であるとの説明がありました。私は、保育士確保とともに、放課後児童クラブの指導員の確保と発達障害等に対応できる指導員の育成についても強化を求めました。また、子どもの貧困対策については、保健福祉部だけでなく、教育庁や親の就労支援など雇用関係の部署との連携をはかるなど、県庁内の横断的な体制づくりを求めました。
2.熊本地震に対し、「福祉避難所設置」に宮城県の支援を求める
4月14日に発生した熊本地震に対する保健福祉部の対応について、災害派遣医療チーム(DMAT)及び災害派遣精神医療チーム(DPAT)を派遣したこと、保健師等の公衆衛生活動チームを22日から派遣するとの報告を受けました。私は、更に、要介護者や障がい者のための福祉避難所の設置について、宮城県の経験を伝え、至急対応するよう求めました。特に、介護士等専門職の確保が重要であると提言しました。
3.自治体病院医師募集について
2016年度はドクターバンク事業で7人、ドクターキューピット事業で8人、修学資金貸付で64人、自治医科大学から11人、合計90人の医師が県内の自治体病院に配置されました。2014年48人、15年70人ですから順調に伸びています。特に増えているのが修学資金を借りた奨学生からの入職です。この間の医師確保対策室の設置や医師育成機構の取り組みなどの成果です。
それでも県内の自治体病院・診療所の求人数は、24病院、3診療所で95人に上っています。私は、ドクターバンク事業の採用累計が21人に対して、現在働いている医師は8人であることから、更に医師の定着に向けた対策が必要であると指摘しました。
4.請願2件は自民・公明の多数で継続審査
(1)「放射能被ばくに対する子どもの健康調査の実施を求める請願」:特別交付税を使って宮城県も実施せよ!
福島県では113人が甲状腺がんと判定され、このうち99人が手術を受けています。福島県県民健康調査検討委員会は、この結果を受けて、「我が国の地域がん登録で把握されている甲状腺がんの罹患統計から推定される有病数に比べて数十倍の甲状腺がんが発見されている」としながらも、「総合的に判断して放射線の影響は考えにくい」とし、「但し、現段階ではまだ完全に否定できず、影響評価のためには長期にわたる情報の集積が不可欠であるため、・・・今後も甲状腺検査を継続していくべきである」としています。
私は、福島の検討委員会の報告を紹介し、丸森町などが行っている国の特別交付税を使った甲状腺検査等について質問したところ、担当課長は「市町村の個々の判断で行っている」と答えました。私は、「制度上、県も特別交付税の申請ができるか?」と問いただし、課長は「県および市町村が申請できる」と答えました。私は、親御さん達が心配して独自に行っている甲状腺検査等について、県が特別交付税を使って実施するよう求めました。部長は、「有識者会議で必要ないと言った」と、4年間同じ答弁が繰り返されています。
(2)「被災者の医療・介護負担免除に関する請願」:県の支援を6月補正で行うよう要請
75歳以上の全県の高齢者及び、9つの市町以外の国保・介護保険で、3月末に打ち切られました。私は、ある診療所では検査が3月に集中し、4月の検査は拒否された事例、4月からデイサービスに来なくなった事例などを紹介し、受診抑制が起きていることを指摘しました。そして、4月に遡及して免除措置を実施できるよう、6月補正で県が市町村や後期高齢者広域連合を支援することを求めました。保健福祉部長は、「それぞれの市町村が判断したこと」と冷たい答弁でした。
国の国保への支援の決定を12月ではなく、喫緊に確認するよう求めたことに対しては、「早く出るよう要請している」と答えました。
(3)「大崎市民病院救急救命センター運営費県補助金の現状維持を求める要望書」について
大崎市議会から出された要望書について、医療整備課長は「地元の意見をお聞きし、経営状況も把握し必要な協議をしていく。」と答えました。私は、「約20年前のスタート時と2014年度を比べると、県の補助金が1億5千万円から1億2千万円に減ったのに対し、大崎市の負担金は1億円から3億2千8百万円と大幅に増加し、他の県北市町も5千万円から8千4百万円に増えている。それを更に、一方的に県の補助金を今年度から5千7百万円に減らした。速やかに戻すべき」と迫りました。
5.宮城県の子ども医療費に係るペナルティ額は2億3千万円
宮城県の子ども医療費に係る国保の国庫負担金減額調整額(ペナルティ)は、総額2億2944万円であることがわかりました。県の子ども医療費への補助は外来2歳まで、入院就学前までですので、県のペナルティ額は約5千万円ですが、市町村の負担総額は1億8千万円に上ります。3月に国のあり方検討会が、ペナルティ措置の見直しを国に提言し、現在、国で検討中となっています。全国の知事会・市長会・町村会からは、子ども医療費の国の制度化とペナルティ廃止を求める要望書が3月末に出されています。ところが、2月定例会では、日本共産党が提案した「子ども医療費の国の制度化とペナルティの廃止を求める意見書」が、自民・公明により否決されました。全く許せません。