宮城県の水道民営化ストップ!“命の水”を守りましょう

昨年12月、国会では水道事業を「民営化」しやすくする水道法改定案が、国民の反対世論を押し切って強行可決されました。政府は「自治体からの要望」があると説明しましたが、要望を出していたのは宮城県だけでした。
宮城県は、今回の水道法の改定を受けて、2021年度中には「みやぎ型管理運営方式」への移行をめざすとし、今年の9月か11月の議会で実施方針条例を議決しようとしています。“命の水”を民間企業に本当に委ねて良いのか、県民的議論が必要です。

■みやぎ型管理運営方式とは何か
宮城県が行っている水道事業、工業用水事業、流域下水道事業(*1)を一体化して管理運営権を20年のスパンで民間企業に売却するものです。施設の所有権及び「管」の管理は宮城県が担うとしています。宮城県の水道事業は、水源(ダム)から取水して浄水場で水道水を作り市町村の受水タンクに届けるまでで、25市町村(*2)が利用しています。

(*1)みやぎ型管理運営方式対象事業
①水道事業    大崎広域水道、仙南:仙塩広域水道
②工業用水事業  仙塩工業用水、仙台圏工業用水、仙台北部工業水
③流域下水道   仙塩流域下水道、阿武隈川下流流域下水道、
鳴瀬川流域下水道、吉田川流域下水道

(*2) 宮城県の水道事業利用市町村
仙台市、塩竈市、多賀城市、七ヶ浜町、利府町、松島町、富谷市、大郷町、
大和町、大衡村、岩沼市、名取市、亘理町、山元町、白石市、角田市、
大河原町、柴田町、蔵王町、村田町、大崎市、栗原市、涌谷町、美里町、
加美町

■みやぎ型管理運営方式の問題点
①水道料金値上げのリスク
宮城県は、335~546億円のコスト削減が可能としていますが、その根拠は未だ示されていません。むしろ、法人税や株主配当、役員報酬などの費用まで水道料金に上乗せされ、県民の負担になる恐れがあります。

②水道水の安全性への不安
営利を目的とする民間企業による過度な経費削減は、安全性が脅かされる懸念があります。

③「企業秘密」として情報公開されない危険
共産党県議団が、この件に関する2つの調査業務の開示請求をしたところ、400ページ中160ページが黒塗りでした。非開示の理由は「企業の利益を損なう」から。出発点がこれでは、今後も「企業利益」を口実に、水道事業の経営情報などが県民や議会に公開されない危険があります。

④運営権者の発注が関連会社優先となる恐れ
宮城県が作った「Q&A」には、「みやぎ型管理運営方式では、運営権者の業務範囲における調達先の選定や納入製品単価の決定については、運営権者の裁量として実施されることになります」と書かれています。これまで仕事を受注していた地元業者への影響が懸念されます。

■海外は民営化から再公営化の流れ
民営化が進んだヨーロッパなど世界の国々で、水道料金の高騰や水質悪化を招き、再公営化が広がっています。2000年から2016年の間に、32カ国で267の自治体が水道の再公営化を決定しました。
ところが村井知事は、「世界的な力を持った企業にも開放し、競争していただく」と、国際的水メジャーの参入も視野に入れています。

「水は人権」、水道事業は誰が担うべきなのか、公営でこそ、その使命を果たせるのではないでしょうか。命の水を守っていきましょう。

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