5月20日の総務企画委員会で、宮城県庁に対する福島第一原発事故にかかる東京電力への損害賠償請求状況が報告されました。
今回の報告は、「事故被害対策実施計画」に基づき実施した令和元年度事業分で、請求額3億4114万9361円に対して、賠償額は1億5511万7531円で、賠償割合は45.5%でした。
事故被害対策実施計画に基づく区分ごとの内訳は、「放射線・放射能の監視・測定」及び「汚染物・廃棄物の速やかな処理」は6~7割の賠償が認められましたが、「汚染・風評被害への十分な対応」はわずか2.6%、「損害への対応」及び「正しい知識の普及・啓発」、「人件費」はゼロでした。賠償されなかった事業は「みやぎの肉用牛イメージアップ事業」などで、人件費は事故被害対策業務対応職員の人件費でした。いずれも賠償対象外とした理由について、東京電力は「事故との相当因果関係を確認することができない」としています。
//事故後10年間の賠償割合は63.2%//
平成23年度以降、令和2年度まで10年間の状況は、累計で42億6174万円余の請求額に対して、賠償額は26億9269万円余で、賠償割合は63.2%です。原子力損害賠償紛争解決センター(ADRセンター)での和解交渉は、平成24年度分までしか成立しておらず、それ以降は審理中です。県は、令和元年度の賠償されなかった経費についても、ADRセンターに和解仲介申し立てを行う予定と説明しています。
//汚染水海洋放出 東電は「風評被害対策をしっかり行う」と言うが・・・//
「東京電力が負担すべき風評被害対策である」ことを東電に認めさせることがいかに困難か、その実態がよくわかりました。また、損害賠償請求には長い年月がかかります。
来年春に汚染水海洋放出を行おうとしている政府や東京電力は、「風評被害対策をしっかり行う」「被害があれば賠償する」と言っていますが、現在、やっていることと大きくかけ離れていると言わざるを得ません。