月別アーカイブ: 2019年5月

東日本大震災の復興に係る緊急要望について政府交渉

5月13日、日本共産党宮城県議団、仙台・塩釜の両市議団等は、紙智子参議院議員とともに、復興に係る緊急要望について政府交渉しました。以下、交渉結果の概要を報告します。

【被災者支援総合交付金について】
〇災害公営住宅入居者への生活支援員による見守りやコミュニティ支援を継続するため、復興期間終了後の2021年度以降も被災者支援総合交付金の継続を求める。
(復興庁)復興創生期間中に安定的財源確保に取り組む。その後についてはこれから検討していく。

【災害援護資金について】
〇高齢化や病気、廃業等により災害援護資金の償還困難な人の免除措置は、13年の償還期間終了後、更に10年経過後となっている。既に返せないとわかっている方に督促し続けるのは、自治体行政の負担となり、被災者の人権侵害につながりかねず、早期の免除を認めること。
(内閣府防災)災害援護資金は国の債権管理法の免除規定にもとづき、無資力かどうかを10年の経過で判断することにしているが、まだ返済期間の2年目であり、債務者の公平性を考慮しながら適切な運用をはかっていきたい。
〇各自治体が当該貸付金に係る債権を免除又は放棄することが適当であると判断する場合には、国においても自治体への債権を免除する規定を制定すること。
(内閣府防災)災害弔慰金の法律にもとづき、死亡または重度障害は債権免除ができるとされており、市町村が免除した場合は国・県から市町村への貸付金も免除される。さらに、10年経過してなお無資力である場合は市町村の判断で免除できる。その場合も市町村への貸付金も免除される。
尚、返済困難者については市町村の判断で償還猶予ができる。猶予すれば延滞金の請求は免れる。

【生活保護世帯について】
〇昨年4月以降、新たに生活保護を受けた方には保護費によるエアコン設置が可能となったが、それ以前の生活保護世帯にも遡及して対応すること。
(厚生労働省)生活用品については保護費のやりくりで購入していただくのを原則としている。一方、保護開始時に持ちあわせが無い場合等には、従前から一次付与資金を認めている。昨年この対象に熱中症による健康被害をふまえて、新たに冷房機能を追加した。

【子どもたちへの支援について】
〇子どもの心のケアや不登校への対応などは継続的・長期的な支援が必要であり、教員の震災加配とスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置を復興期間終了後も継続すること。
(文部科学省)2020年度以降も政府方針では心のケアに必要な加配は適切に対応していくとなっており、必要な支援に努めていく。スクールカウンセラーについても引き続き重要と認識している。

【防波堤・防潮堤等について】
〇倒壊した塩釜漁港の東防波堤について、東日本大震災の国の復旧・復興予算で、速やかに工事に着手できるようにすること。
(復興庁)県と水産庁とも連携しながら議論している。県がいま原因調査中なので、その結果をふまえて最大限の支援をしていく。

【水産と風評被害について】
〇宮城県の水産物や水産加工品は、福島原発事故の風評被害により海外輸出に支障をきたしている。風評被害払拭に向けて、国が責任を持って海外との交渉を進めるとともに、輸出解禁ができるまでは国と東京電力の賠償責任を果たすこと。
(外務省、経済産業省)情報が正しく伝わらない中で誤解を払拭する必要がある。外務省としてもレセプションなどの機会をとらえてねばり強く対応していきたい。賠償については、東京電力が誠実・適切に対応していくように指導していきたい。

【汚染水問題】
〇福島第一原発の汚染水の海洋廃棄は風評被害の拡大につながるので、絶対行わないこと。
(経済産業省)汚染水(アルプス処理水)の取扱いは技術的な面だけではなく社会的な面からも検討が必要と考えている。国の方では現在、さまざまな専門家をいれたアルプス小委員会で検討中。
●海洋投棄をしないと明確にすべきと迫りました。

旧優生保護法による全ての被害者の救済を!

国会で議員立法による「旧優生保護法・一時金支給法」が制定され、一時金320万円の申請が始まりました。県の報告によると、5月20日現在、相談件数76件、請求件数12件とのことでした。一方、宮城県の調査で優生手術実施済みの記録がある方は900名。その他手術の申請書等がある方が477名、合計1377名の名簿が判明しています。
問題は一時金支給の周知です。宮城県は被害者へのプライバシーの観点から個別通知はしない方針です。現在、裁判をたたかっている弁護団は、「被害者へのプライバシーを十分守った上での丁寧な告知(通知)を求めていて、それなしに多くの被害者が救済を受けられるか疑問がある」と言っています。
私は、鳥取県や山形県では個別通知の実施を検討するとしていることを紹介し、宮城県も検討するよう求めました。保健福祉部長及び担当課長は、鳥取県の情報は調べておきたいと答え、市町村及び、医療機関・障害者福祉施設等関係機関にリーフレットをお願いするなど幅広い周知に努めると答えました。

<追記>
旧優生保護法下で、宮城県の60代と70代の女性2人が知的障害を理由に不妊手術を強制されたのは違憲・違法だとして、国に計7150万円の損害賠償を求めた裁判の判決が5月28日、仙台地裁でありました。旧法の違憲性を認定した一方、損害賠償請求を棄却したのは不当判決です。

「私たちのことを私たち抜きに決めないで」~条例制定に障がい当事者の参加を!

宮城県では、障がいを理由とする差別の解消と,手話をはじめとする情報の取得や意思疎通支援などを主な内容とする「障害のある人もない人も共生する社会づくり条例(仮称)」の制定を目指し、県内7地域でのタウンミーティングや各障がい者団体からのヒアリング等を行ってきました。そこで一貫して出されている意見が「障がい当事者の条例制定への参加」です。私はその具体化について質しました。
保健福祉部長は、「条例づくりに際し、障がい当事者の方々の制定過程への参加は非常に重要だと思っている。これまで障害者施策推進協議会の場を軸として議論してきたが障がい当事者の枠も少ないということもあり、当事者の方々が幅広く参加していただくためにどのような会議の場を設けるか、今検討しているところだ」と前向きの答弁がありました。

戦時中の学徒動員期間の年金支給を

戦時中、学徒動員で仙台市の軍需工場で働いていた期間の年金が未払いで、年金機構に履歴申し立てを行ったが、「宮城県に本人に関して証明できる記録がない」と履歴申立書が戻されたという相談を受け、保健福祉委員会で取り上げました。記録がない理由は、昭和20年代の県の関係部署の火災による焼失とのことでした。私は、「燃えた資料の分まで国民に証明せよというのは理不尽だ」として県が親身になって対応することを求めました。
担当課長は、「毎年、数件から十数件の照会が国から来ている。県としては(本人に対して)当時の工員手帳や写真などがあれば添付するよう伝えている」と答え、保健福祉部長は、「どんな書類ならば対応できるか国とも相談しながら、県としても申請する方の立場にたって対応したい」と答えました。

「宮城県感染症予防計画」に私の意見が反映されました・・・5/21保健福祉委員会にて

4月19日の保健福祉委員会に、「宮城県感染症予防計画改定案」が報告されました。県の感染症発生動向では、他の感染症の罹患率が全国を下回っている中で、腸管出血性大腸菌感染症(O157等)は全国より高い罹患率で推移しているとのことでした。ところが対策の個別疾患の項目に入っていなかったため、腸管出血性大腸菌感染症も特記すべきでないかと発言したところ、「検討する」との回答でした。
5月21日の委員会で、県の感染症対策委員会での議論を経て決定された計画が報告されました。そこには「腸管出血性大腸菌感染症の対策の推進」という項目が追加されていました。

県労連と共産党県議団の連携で仮設住宅解体工事の労務費不払い解決

2018年9月から19年1月まで、気仙沼市と女川町の仮設住宅解体工事に従事したAさん(石巻市)は、労務費66万8千円が支払われず、下請け会社と交渉しましたが解決しませんでした。
困ったAさんは、4月10日に県労連の労働相談に電話。相談員の及川薫さんは、仮設住宅解体工事は宮城県の発注工事であることを確認し、4月19日に共産党県議団に連絡。遠藤いく子、三浦一敏、天下みゆきの3県議と一緒に、県の震災援護室に「直ちに調査を行って、労務費が支払われるよう県が指導すること」を要請しました。
県は直ちに調査に動きだし、4月の連休前には気仙沼市の分が入金され、5月14日には女川町の工事代金も全額入金されるというスピード解決となりました。

重油流出・ノリ被害 共産党議員団で2回目調査(5/17)

仙台港で1月、貨物船による重油流出事故で、七ヶ浜のノリが出荷できなくなる甚大な被害が出た問題で、日本共産党の県議団(天下、福島、内藤、大内の4県議)と藤原多賀城市議、歌川・木村七ヶ浜町議は、県漁協七ヶ浜支所と七ヶ浜町役場、ノリ養殖漁業者を訪れ、その後の状況や要望を聞き取りました。
漁協の寺沢春彦運営委員長らは、被害施設等の撤去が完了し、被害補償の交渉はこれからだとして初動対応を誤った県の責任を指摘し、県に被害者に寄り添った対応を求めました。また、事故後も小規模な油の流出が3回(後に4回と判明)あったとし、仙台港の隣が漁場であることを強調して、港湾内の給油時のルール化を求めました。
七ヶ浜町役場では、寺澤薫町長らと町の対応等について懇談しました。ノリ養殖漁業者は、「再開時にお客さんが戻ってくれるか心配だ」と話していました。
今年は全国的にノリが不作で2割増しの価格となっているそうです。「我々もやりたかった」と語っていた漁協の方の無念の思いが心に重く響きました。漁業者には全く落ち度はありません。救済に向けて県に対応を迫っていきます。

 

多賀城市の災害援護資金償還の取組を調査

災害援護資金の償還について、多賀城市は県内市町村の中でも償還率が高いとともに、支払猶予件数や少額償還件数が多いという特徴があります。そこで4月24日、日本共産党の塩釜市議団と一緒に、佐藤恵子多賀城市議の紹介で、多賀城市の取組について調査してきました。

2018年9月末現在の災害援護資金の償還率は、仙台市9.0%、石巻市15.3%、塩竈市4.9%、気仙沼市9.8%、名取市15.1%、東松島市21.2%、宮城県全体12.2%と比べて、多賀城市は41.0%でした。尚、直近のデータでは、多賀城市46.3%(2019年2月末)、塩竈市11.1%(2019年3月末)です。
また、2019年1月末現在、宮城県全体の支払い猶予件数は432件、そのうちの少額償還件数は294件で、主な自治体では、仙台市:猶予244件(内少額償還210件)、石巻市:22件(6件)、多賀城市:58件(24件)、東松島市:26件(8件)、大崎市:32件(21件)などですが、塩竈市は猶予も少額償還もゼロでした。

<「福祉の貸付なので寄り添っていく」と多賀城市の担当者>
多賀城市は、以下のような取組を行っていました。
①繰上償還を行えば利子がつかないことから、本人にとっても市にとっても良いと、繰上償還を呼びかけ、繰上償還計画を世帯ごとに出してもらった。
②大変な方には夜間や休日に訪問して相談に応じている。
③親の介護で働けないなど生活に困っている方は、生活困窮者自立支援事業等につなぎ、その間は猶予とした。
担当課長が「この援護資金は福祉の貸付なので寄り添っていく」と話していたことが心に残りました。
2019年2月末現在、免除事例は8人で、全て借受人死亡で相続人がいないケースでした。また、破産や債務整理中、生活保護受給などの償還困難事例が34件ですが、「免除は認められていない」ということで制度上の問題があります。

市長会として国や県に以下の要望をおこなっているとのことでした。
(1)支払猶予について
自治体が災害援護資金の支払猶予を適用し、借受人の償還期間を延長した場合には、自治体の国に対する償還期間を延長すること。
(2)免除要件について
災害弔慰金の支給等に関する法律等に規定されている償還免除について具体的な基準を明示すること。
(3)債権回収に向けた自治体個々の取組みに係る経費について助成を行うとともに、国において債権回収機構等を配置し、専門的かつ専属的に債権回収を実施すること。

<塩竈市に「猶予」と「少額償還」の実施を要請>
4月26日、党市議団と生活と健康を守る会の虎川さんと一緒に、塩釜市の生活福祉課で、塩竈市の取組みについて伺い、多賀城市の取組みについても紹介しながら意見交換しました。
塩釜市では「分割償還」の案内をしており、130人に対応し、12分割より少ない額も認めているとのことでした。多賀城市や他の市町が行っている「少額償還」との違いを聞くと、「猶予」ではないので延滞金はつくとのことでした。延滞金は今年の4月から10.75%から5%に下がったものの、それでも低所得者にとっては重く、塩竈市も「猶予」を認めるよう要請しました。
担当課長からは、「免除」や「猶予」の基準を定めてほしいという要望が出されました。