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東日本大震災から8年~中小企業等グループ補助金

宮城県における中小企業等グループ補助金は、2018年度の第22次までで306グループ、4264事業者に総額2678億円の交付決定を行い、2019年1月末現在、89%の事業者が事業を完了しています。
一方、昨年あたりからグループ補助金の自己負担分の借入金返済開始がピークを迎えています。ところが水産加工業者は、施設設備が回復しても売上が追い付いていないため、借入金返済に苦慮している事業者がいます。宮城県は「高度化スキーム貸付制度については、事業者の状況を踏まえて猶予期間の延長など償還期間の見直しを行っている。県内金融機関には、返済に係る柔軟な対応について県から依頼する」と答えています。しかし、高度化スキームの猶予期間の見直しは2017年度に2件、18年度は5件に過ぎず、みやぎ産業振興機構や金融機関の相談体制の周知が必要です。こうした中で、今年1月25日、県内各地の水産関係者で構成する宮城県水産物流通対策協議会及び宮城県産地魚市場協会が返済猶予期間の延長等を求める要望書を国に提出しました。

グループ補助金を使って再建したあと破産した事業者は、2019年1月末現在で25事業者ですが、2018年度が増えてきています。市町村別では石巻市7件、気仙沼市6件、塩釜市3件の順でした。業種別では水産・食品加工業が11件で44%を占めており予断を許しません。
また、廃業事業者数は31件で、市町村別では石巻市16件、気仙沼市8件と多く、業種別では卸売・小売業が12件と39%を占めています。廃業理由は、後継者がいない、本人死亡、高齢化が多いという担当課の話でした。

東日本大震災から8年~東日本大震災みやぎ子ども育英基金

<遺児・孤児への奨学金>
宮城県で東日本大震災により両親を亡くした震災孤児は139人、両親のいずれかを亡くした震災遺児は956人、合わせて1095人にのぼります(2018年3月31日現在)。震災で親を亡くした子どもたちを支援しようと寄せられた募金を財源に、宮城県は「東日本大震災みやぎ子ども育成基金」をつくり、未就学児から大学生までの遺児・孤児への支援金・奨学金を支援してきました。2018年3月31日時点で、申請があった1071人に総額16億9223万円が給付されています。
ところが宮城県の奨学金等の支給額は、岩手県や福島県の半分以下であるため、党県議団は一貫して増額を求めてきました。この度やっと2019年度から奨学金の月額が増額されることになり、大学院生まで拡大されることになりました。

東日本大震災みやぎこども育英募金は、2019年1月31日現在で17,758件、111億4,852万6,299円寄せられています。募金をお寄せくださった全国の皆様に心から感謝申し上げます。
現在、宮城県はこの基金を使い、東日本大震災による遺児・孤児への奨学金等の支給以外に、2016年度から里親支援や子どもの心のケア対策などにも使途を広げました。2019年度からは、病気・交通事故等の東日本大震災以外の要因により親を亡くした小中学生を対象にした就学支援を開始する予定です。

東日本大震災から8年~見守りとコミュニティ支援

<仮設住宅・災害公営住宅入居者への支援>
2018年10月末で、孤独死は仮設住宅で109人、災害公営住宅で105人にのぼっています。孤独死を防ぐためにも、また前述した宮城県の「健康調査結果」からも、災害公営住宅における見守りや相談、心のケア、コミュニティ形成等への長期的・継続的な支援は重要な課題です。
2018年4月現在、仮設住宅や災害公営住宅入居者を支援するサポートセンター(高齢者相談室等を含む)は13市町に47ヶ所、生活支援相談員は417人です。ピーク時は、サポートセンターが2014年の64ヶ所、生活支援相談員が2012年の939人でした。

<南三陸町の生活支援員の活動>
今年の2月15日に党県議団で南三陸町を訪問し、災害公営住宅における被災者支援の取組について調査してきました。
南三陸町の災害公営住宅整備戸数は8団地に738戸、入居戸数(一般入居者も含む)は721戸で1416人が入居しています。全団地の高齢化率は45.55%、中でも志津川東団地は59.69%と高くなっています(2018年10月末現在)。町は、災害公営住宅の整備検討段階から、「高齢化の進行」という課題を見据えて、①福祉やコミュニティに配慮した設計検討、②見守り支援の継続、③高齢者生活支援施設の整備を重点3項目として取り組んできました。
見守り支援では、60戸以上の団地の6つの集会所に「高齢者生活相談室」を設置して生活支援員を2名ずつ常駐させ、見守りや生活相談、関係機関との連携、コミュニティ形成支援(住民検討会の進行、各種イベントの運営、自治会運営支援)などの業務を行っています。更に3名の生活支援員が小規模団地を巡回支援しています。この15人の生活支援員は社会福祉協議会の嘱託職員で、仮設住宅の時から継続して担っているとのことでした。町の担当職員は、こうした取組ができたのは、震災後支援に来てくださった兵庫県の派遣職員のアドバイスが大きかったと話していました。
これらの事業の財源は、被災者支援総合交付金(復興庁10/10)です。南三陸町は、事業を長期的に継続する意向ですが、問題は、復興期間が終了する2021年度以降の財源確保です。

<塩釜市のふれあいサポートセンター>
昨年11月に党市議団と一緒に、「塩釜市ふれあいサポートセンター」を訪問し調査してきました。塩釜市のサポートセンターは、市内に1カ所設置されて社会福祉協議会に委託し、浦戸諸島を含めた9地区390戸の災害公営住宅を6人のスタッフで支援しています。
活動内容は、1つは巡回訪問による見守り生活相談。一人暮らしの方々を中心に、毎月、週1~2回、月1~2回など入居者の状態に合わせて定期訪問し、気になる人は地域包括支援センター等に繋いでいるとのことでした。もう1つは、コミュニティ支援を目的とした災害公営住宅集会所での「ふれあいサロン」の開催です。「脳トレ教室」「ダンベル体操」「映画とお茶の会」「タペストリー作り」等々、様々な企画が行われていました。

市町村によって形態は違いますが、超高齢化社会で一人暮らしが多い災害公営住宅入居者を支えるサポートセンター等の活動を、復興期間終了の2020年度で終わらせるわけにはいきません。国に財源の継続を求めて運動が必要です。また、規模の大きい団地では南三陸町のような生活支援員の常駐体制は重要です。

 

東日本大震災から8年~災害公営住宅の家賃減免延長について

災害公営住宅は、特別家賃低減事業により、低所得世帯(政令月収8万円以下)について住宅の供用開始後5年間は家賃を据え置き、6年目から10年目にかけて公営住宅の本来家賃に戻していくしくみとなっています。また、入居から3年が経過すると、政令月収15万8千円を超える世帯は「収入超過者」となり、割増家賃が加算され住宅の明け渡し努力義務が発生します。
党県議団は、復興庁の事務連絡(2017年11月21日付)により特別家賃低減事業の対象者及び収入超過者の家賃減免は自治体の判断で可能であることを訴え、県がイニシアチブを発揮することを求めました。その結果、党の市町議員の奮闘もあり、全県的に家賃軽減を継続させる運動が広がり、仙台市や石巻市、塩釜市では署名運動が行われました。
2019年2月7日現在、特別家賃低減事業の対策では、仙台市、石巻市、塩竈市、気仙沼市、多賀城市、岩沼市、登米市、栗原市、東松島市、亘理町、山元町、七ヶ浜町の12市町で減免家賃の延長が表明されました。その他、女川町と南三陸町は独自の減免制度で運用しています。収入超過者への対策では、石巻市、気仙沼市、岩沼市、東松島市、亘理町、山元町、七ヶ浜町、涌谷町、女川町の9市町で割増賃料の加算据え置き等が表明されました。(県住宅課の情報)
災害公営住宅を有する市町は21あります。党県議団は、県のリーダーシップを求めるとともに、市町の党議員や東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センターと連携しながら、全ての自治体で減免家賃の延長と収入超過者の加算据え置きの実施をめざしています。
2018年4月1日現在、1万4371戸の入居戸数のうち、収入超過世帯は1116世帯です。収入超過者への対応については、①そもそも災害公営住宅は、被災した方がやっと安心して住み続けられる住まいとして入居したのであり、一般の公営住宅とは違うこと、②建設資材や人件費等の高騰で家賃が高くなっていること、③収入超過者は働き盛りの世代が多く、コミュニティ再生のためにも重要な役割が期待されることなどを踏まえ、県や市町に働きかけていきます。

東日本大震災から8年~「いのち・暮らし・生業の再建」はこれからが正念場

3月11日で東日本大震災から丸8年を迎えます。災害公営住宅などハード整備が進む一方で、被災者の健康や心のケア、生活や生業の再建などへのきめの細かい支援が重要な課題となっています。

<被災者の健康調査と医療介護免除措置>
被災者医療・介護負担の免除措置は、2018年度は気仙沼・東松島・名取の3市のみの継続となっていましたが、3市とも今年度末で打ち切りとの方向が示されました。打ち切りの理由は、「災害公営住宅の整備完了、仮設住宅解消を一つの判断基準とした」とのことでした。他の市町も同様の理由で既に打ち切っています。
しかし、被災者への支援は災害公営住宅に入居したら終わりで良いのか、震災後宮城県が毎年行ってきたプレハブ仮設住宅と民間賃貸借上住宅、災害公営住宅の「入居者健康調査」結果(2017年度)を検討しました。
その結果、災害公営住宅は、50%を超える超高齢化社会で一人暮らし世帯も多く、病気や体調不良、心の問題などが仮設住宅より多いことがわかりました。その一方で、相談相手が少ないのも災害公営住宅でした。よって、日常的な相談や見守り、医療・介護などの継続的な支援がこれまで以上に必要です。また、無職やパート・アルバイトなど低所得者も多いことから、医療・介護の免除措置の継続は引き続き重要です。
「災害公営住宅に入居したら医療・介護の免除措置は終了」という市町村の判断は、実態にあっていません。そして、市町村の判断を尊重するとして責任を放棄し、この間、全く被災者医療費への支援をしてこなかった村井県政の姿勢は重大な誤りです。

仙台港重油流出事故 被害者の全面救済を!

仙台港で1月20日に発生した重油流出事故により七ヶ浜のノリ養殖漁業が甚大な被害を受けた件について、日本共産党県議団は、2月12日に七ヶ浜町議と多賀城市議とともに県の関係各課からヒアリングを行い、2月26日には大内真理県議が一般質問で取り上げ、被害者の全面救済を求め、県の初動対応についてただしました。

<被害者の救済について>
ヒアリングや議会質問等で以下の点が明らかになりました。
①被害を受けたノリ養殖業者への支援
1)ノリ養殖等重油被害に対する漁業経営サポート資金(受付期間:3/11まで)
2)水産多面的機能発揮対策事業(水産庁補助事業:国7割、県3割)
漁業者が行う養殖ノリの刈り取り、ノリ養殖筏の陸揚げ・資材の分別、養殖漁場の海底油分の確認等の取組に係る漁業者の日当、船の燃料代
■相談窓口
仙台地方振興事務所水産漁港部水産振興班(022-365-0192)など
②ノリの加工会社や卸・販売業者、燃料の販売店など二次被害の把握と救済について
⇒県漁協七ヶ浜支所に取引先の把握を依頼。関係市町に県の制度融資について通知。二次被害を受けた中小業者の相談にも対応し、制度融資の紹介等を行っている。
*災害復旧対策資金(一般枠)
問合せ先:宮城県経済商工観光部商工金融課(商工金融班)022-211-2744
■中小業者への利子補給について
⇒制度融資の利用状況を確認し、関係市町と協議しながら検討する。
③国保税、個人県民税・市町村民税の減免について
⇒地方税法等の規定により、天災等の特別の事情がある場合に、市町村長が必要と認める者に限り、当該市町村の条例に定めるところにより減免を行うことができる。県としても関係市町への必要な助言を行うとともに、その他の県税や国税についても相談できるよう、税務署等と連携していく。

宮城県:初動対応の不備を認める
大内県議の質問に対して、担当部長は、「港湾区域内における海上等への流出油事故対応要領」には、夜間における指揮命令系統や現場確認などが具体的に規定していなかったことを明らかにしました。そして、「宮城海上保安部から午後11時頃に『夜間のため被害状況等不明』との連絡があったが、翌朝の現場確認となったことや、関係機関との連絡体制が十分でなかったことなどの反省点がある」と県の対応の不備を認め、「今後、今回の事故を受けて設置した検討会での検証結果を踏まえ、実効性のある対応要領への改善や、情報伝達およびオイルフェンス設置訓練等を実施するとともに、関係機関との連携を強化し、油流出事故に対して万全を期してまいります」と答弁しました。

<2月12日の県からのヒアリング>

 

 

仙台港で重油流出 復興途上の七ヶ浜・ノリ養殖大打撃

仙台塩釜港仙台港区で1月20日に貨物船から重油約1000㍑が流出し、七ヶ浜のノリ養殖に大打撃を与えました。事故が判明した25日、私は木村稔七ヶ浜町議と藤原益栄、佐藤恵子両市議と一緒に、急遽、七ヶ浜町で被害状況を調査しました。
宮城県漁協七ヶ浜支所の寺沢春彦運営委員長は、「1つでも油が付着したものを出せばブランド評価を落とすことになるので、七ヶ浜全海域の生産を中止した」と涙をにじませ、「14億円の被害だ。明らかな人災であり100%補償してほしい。保険が出るまでのつなぎ資金や、油がついたノリや資材の処分のための費用や専門業者が必要」と話していました。また、重油流出の際の初動対応の遅さが指摘されました。
訪問したノリ養殖業の女性は、「なぜすぐにオイルフェンスを張らなかったのか」と憤り、「震災で全部なくして、あと1年で借金を払い終えるところだったのに・・」と肩を落としていました。

公営のまま持続可能な水道経営~岩手中部水道企業団調査~

1月15日、日本共産党宮城県議団で、岩手中部水道企業団(以下、企業団)を訪問し、公営企業として水道経営の改善に取り組み、4年間で総計約76億円の投資を削減した実績を学んできました。
経営改善のキーワードは「広域化」と「ダウンサイジング」です。企業団では、進む人口減少の危機感から、2市1町(北上市・花巻市・紫波町)の広域化を図るとともに、水道施設のダウンサイジングを行ってきました。そもそも現在の水道の施設利用率は全国平均で約6割と、実際の必要量をはるかに超えて供給されています。そこで企業団では、各家庭等への水の供給はこれまで通り行いながら、地域の実態を検討して脆弱水源をつぶし、34の浄水場を21まで減らすなどダウンサイジングを図り、効率化を進めてきました。
こういうことができたのは、広域化により2市1町で水道事業を担っていた職員が企業団に移って集団化されたこと、そして人材の確保と技術の継承が図られたことで、更に新技術に挑戦しながら水道施設の再編事業を行なったり、首長と議会、住民を説得したりしてきたとのことでした。

宮城県では、「コスト削減のためには民間のノウハウを取り入れる」と言っていますが、その根拠は結局示されていません。むしろ、「知恵は現場にあり」です。水道事業を担ってきた県や市町村の職員の知恵と力を引き出すことこそ、解決の道だと思いました。

宮城県の水道民営化ストップ!“命の水”を守りましょう

昨年12月、国会では水道事業を「民営化」しやすくする水道法改定案が、国民の反対世論を押し切って強行可決されました。政府は「自治体からの要望」があると説明しましたが、要望を出していたのは宮城県だけでした。
宮城県は、今回の水道法の改定を受けて、2021年度中には「みやぎ型管理運営方式」への移行をめざすとし、今年の9月か11月の議会で実施方針条例を議決しようとしています。“命の水”を民間企業に本当に委ねて良いのか、県民的議論が必要です。

■みやぎ型管理運営方式とは何か
宮城県が行っている水道事業、工業用水事業、流域下水道事業(*1)を一体化して管理運営権を20年のスパンで民間企業に売却するものです。施設の所有権及び「管」の管理は宮城県が担うとしています。宮城県の水道事業は、水源(ダム)から取水して浄水場で水道水を作り市町村の受水タンクに届けるまでで、25市町村(*2)が利用しています。

(*1)みやぎ型管理運営方式対象事業
①水道事業    大崎広域水道、仙南:仙塩広域水道
②工業用水事業  仙塩工業用水、仙台圏工業用水、仙台北部工業水
③流域下水道   仙塩流域下水道、阿武隈川下流流域下水道、
鳴瀬川流域下水道、吉田川流域下水道

(*2) 宮城県の水道事業利用市町村
仙台市、塩竈市、多賀城市、七ヶ浜町、利府町、松島町、富谷市、大郷町、
大和町、大衡村、岩沼市、名取市、亘理町、山元町、白石市、角田市、
大河原町、柴田町、蔵王町、村田町、大崎市、栗原市、涌谷町、美里町、
加美町

■みやぎ型管理運営方式の問題点
①水道料金値上げのリスク
宮城県は、335~546億円のコスト削減が可能としていますが、その根拠は未だ示されていません。むしろ、法人税や株主配当、役員報酬などの費用まで水道料金に上乗せされ、県民の負担になる恐れがあります。

②水道水の安全性への不安
営利を目的とする民間企業による過度な経費削減は、安全性が脅かされる懸念があります。

③「企業秘密」として情報公開されない危険
共産党県議団が、この件に関する2つの調査業務の開示請求をしたところ、400ページ中160ページが黒塗りでした。非開示の理由は「企業の利益を損なう」から。出発点がこれでは、今後も「企業利益」を口実に、水道事業の経営情報などが県民や議会に公開されない危険があります。

④運営権者の発注が関連会社優先となる恐れ
宮城県が作った「Q&A」には、「みやぎ型管理運営方式では、運営権者の業務範囲における調達先の選定や納入製品単価の決定については、運営権者の裁量として実施されることになります」と書かれています。これまで仕事を受注していた地元業者への影響が懸念されます。

■海外は民営化から再公営化の流れ
民営化が進んだヨーロッパなど世界の国々で、水道料金の高騰や水質悪化を招き、再公営化が広がっています。2000年から2016年の間に、32カ国で267の自治体が水道の再公営化を決定しました。
ところが村井知事は、「世界的な力を持った企業にも開放し、競争していただく」と、国際的水メジャーの参入も視野に入れています。

「水は人権」、水道事業は誰が担うべきなのか、公営でこそ、その使命を果たせるのではないでしょうか。命の水を守っていきましょう。

12/25 塩竈市の漁業と水産加工業への支援を求めて政府交渉

昨年の12月25日、私、県議と共産党の塩釜市議団と一緒に、紙智子参議院議員にも同席いただいて、水産庁、中小企業庁、財務省と交渉を行いました。要望書は、昨年8月18日に行った「塩釜の水産業を考えるつどい」で出された要望や課題等を踏まえて作成しました。要望書に対する回答を報告します。

【水産庁】

1.水産庁の調査では、売上が震災前より8割以上回復した水産加工業者は未だ54%にとどまっている。生鮮流通及び商品開発等の専門家の助言導入や、被災企業・団体による消費者の商品ニーズ把握支援、行政による被災地復興支援の啓蒙など販路回復のための系統的総合的な営業支援が重要。復興期間終了後の2021年度以降もこれらの支援を継続・拡充すること。

回答:まずは10年間しっかりやって、どんな効果が出ているかという話で、今の段階で延長するとは言えない。
天下:今からこそ力を入れていかないと、廃業や倒産になりかねない。とてもあと2年間で売上が挽回し軌道にのるとは考えられない。
曽我:水産庁として実態をどのようにつかんでいるか?
回答:水産物は農産物より販路拡大が遅れていると認識している。
 :宮古や気仙沼に行ったが、みんな心配している。そこはちゃんと調べていただきたい。
小高:事業所の現状はどうにか経営をつないでいるところ。腰を据えて経営基盤を強めることを考えていただきたい。
回答:水産加工は、被災地はもとより全国的に大変。仮に10年で終わっても、全国への政策の中で考えていくこともある。

2.塩釜の水産物や水産加工品・練り製品は、福島の原発事故による風評被害のため、関西以西での販売が落ちたままである。風評被害払拭と国内外での販売促進を支援すること。

回答:風評被害対策事業に、平成28年度は大阪・福岡で6加工業者、29年度は大阪・福岡で10加工業者、30年度は大阪で15加工業者がそれぞれ宮城から参加している。年々伸びている。また、仙台で東北の水産加工展示会を開き、関西のバイヤーも増やしている。

3.魚の消費を増やすために、魚食の普及や、「蒲鉾は高たんぱく低カロリー食品」という情報発信を支援すること。

回答:水産庁としても問題意識があり、水産基本計画にも重点的に入れている。手軽な加工品を紹介するファストフィッシュの取組では、塩釜の蒲鉾も取り上げてPRしていただいた。特に若い世代に水産物を使ってもらえるように、学校給食関係者や妊婦向け研修の中で紹介している。
天下:テレビなどでも魚食の優れているところを発信してほしい。

4.小売り段階では価格競争が激化し、消費税や原料などコストの上昇分を価格に上乗せできず、大手スーパーに買いたたかれている現状がある。被災企業に再生産可能となる具体的な支援を行うとともに、大手スーパー等に適正な取引が行われるよう指導すること。

回答:食品流通構造改善促進法の改正があり、農林水産大臣が食品等の取引状況について実態調査を行い、その結果に基づいて必要な措置を講じ、不公正な取引がある場合には公正取引委員会に通知するというしくみができた。まずはいろんな意見を聴いて流通の実態を明らかにしていく。

5.改定漁業法が可決されたが、塩釜の漁協や漁業者からは「全く説明がない」と憤りの声があがっている。何よりも漁業者及び地方の漁協への説明責任を果たし、漁業者の声を聴くこと。
宮城県が行った水産特区は、漁業者や漁協の猛反対を押し切って企業に漁業権を与え、浜に無用の対立と混乱を起こした。その会社は、国と県から4億4700万円の補助金を投入したが赤字が続いている。5年経った今、特区を使わずに地元漁協と企業が対立を乗り越えて復興の道筋をたどっている。この混乱を繰り返さないよう、漁業権について漁協及び地元漁業者の優先権を守ること。また、民主的な海洋資源管理維持のために海区漁業調整委員会の公選制は維持すること。

回答:我々としても今の説明で充分だと思っていない。説明は継続して丁寧にやっていく。漁業権は、「適切かつ有効に」活用されている限りそのまま継続できる。海区漁業調整委員は公選制をやめて知事が任命することになっているが、法律の中で、「知事は漁業者や団体、県議会の意見を聴かないといけない」という規定がある。今でも地元で調整されて選挙は行われていない。実態は同じことだ。
天下:「適切かつ有効」の基準がわからない。宮城は水産特区の知事で、1回強行突破しているので非常に心配。公選制の問題は漁業者の自治の問題。選挙をやっていないから知事の任命だというのであれば、一般の選挙で無投票の選挙区は知事が任命するようなものだ。
田井:水産特区を作ったことがどうだったかを水産庁が検証すべき。
回答:特区は県が実施主体であり、県で検証結果を出すのが本来。
田井:県の検証はなりたたない。特区は国が法律で作ったもの。根本は漁業法の目的を変えたこと。「漁業者が主体となって漁業調整を行い、漁業生産力を高め、民主化をはかる」―ここが漁業法の根幹。これを変えた。
紙 :漁業者の要望があったわけでもない。国家戦略特区ワーキンググループの議論で今回の改定になった。変えたのは外部からの圧力だ。

6.日本の沿岸養殖漁業を支えているのは小規模沿岸家族漁業であり、新規漁業就業者の確保と養成、定着のための支援を拡充すること。特に、定着のためには生計が成り立つことが重要であり、所得向上に向けた家族複合経営化など就業後の技術研修等への支援を強めること。

回答:漁業に関する知識ゼロの方・就業準備段階から定着段階まで支援している。漁業就業者フェア(就業者と漁業経営体のマッチング)、漁業学校、漁業者のもとでの長期研修を行っている。インターネットで「漁師.jp」を参考に。
天下:全国の漁業者減少の中で、鍵をにぎるのは所得。漁業で食べていけるのかどうかだ。就業後のこのしくみを国に作っていただきたい。
回答:勉強させていただきたい。

7.燃油価格の高騰に対する対策として「漁業経営セーフティーネット構築事業」により急騰時への対策は講じられているが、全体として燃油が高くなっており、下げるための手立てを打つこと。

回答:急騰対策の改定を行い改善する。急騰対策は、7中5の85%を超えた場合を前提に、これまでは「直前四半期の20%」あるいは「1年前の20%」を超えると発動していた。今後は、加えて「2年前の40%」を超えた場合も発動する。10~11月の燃油が高かったので、10~12月期分については、1月に確定の上、支払われる予定。

【中小企業庁】

8.売上が回復しない一方で、原料価格や資材運賃の高騰が経営に打撃を与えている。中小企業等グループ補助金の自己負担分の借入金返済が困難な事業者への償還猶予の延長を、関係機関に働きかけること。

回答:高度化資金の貸付主体は県の財団。貸付要項に基づいて、5年過ぎたらすぐに返済しろと一律に求めていない。償還困難の事業者から申請があった場合、事業の継続が見込まれることを踏まえて総合的に判断して返済猶予を行っている。個々の事業者の話を聞いて柔軟に対応するよう県を通じて財団に伝える。
天下:宮城県では返済猶予は年2件程度。県議会でも相談があれば柔軟に対応するとの返事はもらっているが、相談した方の中にはまだハードルが高いという声もある。国から金融機関にも柔軟に対応してほしいと伝えてほしい。既にグループ補助金を使った事業者の倒産や廃業が出てきている。それぞれが軌道に乗るまで支えてほしい。
回答:他県も含めて猶予した実績は1桁程度と承知している。ハードルが高いとご指摘いただいたが、財団にあまり相談がないと聞いている。ご相談いただければ柔軟に対応することを事業者に周知が必要と思う。

【財務省】

9.来年10月の消費税増税が施行されると、資材や運賃は全て10%でも、魚は8%で価格に転嫁できない。復興途上の水産加工業者を更に追い詰める消費税10%増税を中止すること。

回答:課税事業者は、仕入れは10%で売り上げは買い手から8%もらう。2%かぶることになるが、仕入れ税額控除(売上税額から仕入れ税額を控除して残った分を税務署に申告する)により事業者の負担はない。消費税は消費者が負担するもの。免税事業者は納税申告の義務はないが、仕入れにはかかる。売上時に本体価格に転嫁しないと自分が消費税分を負担することになるが、そこがなかなか転嫁できないというご懸念があると思う。
天下:転嫁できないのは免税事業者だけではない。本体価格に転嫁できずに、自腹を切って消費税を払っている業者もある。現場の厳しい実態がわかっていない。
回答:そこについては、5%から8%になった時に「消費税転嫁対策措置法」が制定された。買いたたき禁止の法律である。買いたたきがあれば、公正取引委員会と中小企業庁、消費者庁が一緒に立入調査をし指導する権限を与えられている。ひどい場合は、勧告や事業者氏名の公表も行う。2018年8月末時点で、転嫁拒否行為に対して、「調査着手」が10,690件、うち「指導」が4232件、勧告・事業者氏名公表が46件。また、公正取引委員会では、31年度予算で転嫁Gメン増員の予算を盛り込んでいる。転嫁拒否で困っているところは、公正取引委員会にご相談を。